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第8話(*)

「これは合意の行為だ。だが……」  青年は、自身に言い聞かせるように言うと、目尻を泣き出す寸前のように染め、わたくしの唇に……今でも信じられないのですが、接吻をしてくださいました。  なぜそんなことをなさるのか、不思議に思うわたくしの感情が顔に出てしまったのかも知れません。  一度離した唇を、またくっつける段になり、 「お前をモノとして扱ったりはしない。一人の人間として抱きたいと思うから、抱く。つらいなら、つらいと言ってくれ。その時はなるべく……考える」  と囁いてくださいました。  唇を吸われ、はしたなく勃起した前をそろりと指でなぞられながら、もう片方の彼の手が、わたくしの薄い胸板を撫でました。何度も鎖骨やうなじの際や、耳朶から喉仏にかけてを、まるで愛しいものででもあるかのように触れてゆきます。わたくしが焦れったくなり、声を堪えると、彼にはそれがわかるのか、こそばゆい場所を手が往復し、それがさらにわたくしを煽ります。声など出しては無粋で不遜だと思いはするのですが、あまりに彼の手の仕草が甘やかで、切なくなって何度か腰を揺らしてしまったこともあったように思います。  その手が、薄く貧弱なわたくしの胸元を掠めると、じんっと腰に、重ったるいような甘い感覚が湧き出してまいりました。射精感とでもいいましょうか。あるのかないのかわからない、わたくしの乳首が青年によってそっと摘まれるたび、骨の髄が痺れるような感覚に陥るのです。その間も、彼の唇はわたくしの額や頬、鼻先や顎や眦をなぞり、何かを乞うように優しく差し伸べられました。わたくしが声を上げないように努力しているのを悟ると、そのたびに、そっと下唇を食んだり、舐めたりするので、吐く息が乱れるのも構わず、思わず大きく口を開け、空気を吸い込む破目になるのでした。  そうした愛撫のうちに、青年はわたくしの乳首が気に入ったようでした。 「少し……先へ進もうか」  彼は接吻を繰り返していた唇を、今まで指先だけで愛撫していた乳首へと下ろしていきました。最初にそこを吸われた時、明らかな快感があり、戸惑ったのを覚えています。 「……っぁ、」  喉の奥に殺していたはずの空気が出てしまい、口を塞ぐと、その手を退かされました。鈴口をずっと撫でていた人差し指が遠のいたかと思うと、雫をまぶした濡れた指先が後蕾を優しく捏ねます。そのまま乳首を甘噛みしたり、舐めたり、舌を使って散々いたぶったりした後で、また強く吸われますと、感覚が鋭敏になり、たまらなくなるのでした。青年に胸を吸われ、乳首はいつしかピンと立ち上がっておりました。濡れて、存在を強くしたその場所を、さらに指先を使って、弾いたり、突ついたりを繰り返されるうちに、やがて気がつくと、一本、ぬぷ、と後蕾を捏ねていた指が挿入ってきたのがわかりました。

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