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第10話(*)
「ん……、んっ……」
青年の声に頷くと同時に、背筋がぞわりと泡立ったのを覚えています。彼は鼻先でわたくしの鼻頭をトン、と突つき、それまでわたくしの淫らな場所を犯していた指を、ゆっくりと引き抜きました。出ていく瞬間、ゾクゾクと悪寒に似たものが身体を駆け抜け、思わず追い縋るように彼の指を締め付けてしまった自分に、わたくしは奥歯を噛み締めました。
青年は眉をつらそうに寄せ、二、三度、自慰をするように、勃起した自らを指で扱いて整えると、やがてわたくしの後蕾に、その先端を接着させました。
「入るぞ」
「ん、ぅ……っ」
青年の剛直が、わたくしの、綻んで男を欲しがる場所へゆっくりと埋め込まれていきます。彼の大きさが、無残にもわたくしの蕾を引き延ばし、内壁をぐりゅ、と潰すような体積とともに、侵入してまいりました。
熱い、厚みを持った灼熱の塊がわたくしを貫きます。襞が巻き込まれる限界まで突き入れられ、そのあとでゆっくりと少し引き、また突き入れられることを繰り返されるうちに、わたくしの内壁は期待以上の悦楽にわななき、あさましくも彼の雄芯を、ぎゅうっと締め付けてしまう有り様でした。
「ぁ……、ぁ……、っ……っ」
わたくしは我慢できなくなり、もっと、と彼の背中に爪を立てたようでした。
ゆっくりと中を犯してゆく彼の怒張が、巻き込むように周囲の壁を擦り上げます。そのたびに、先ほど判明した弱い場所を掠められ、その愉楽の大きさに反応したわたくしの芯は、縛められたまま、先端からトロトロと透明な蜜を垂らし続けました。
そうして全部がおさまった時、わたくしの視界は涙で半ば崩れ、よく見えなくなっていました。
「……大丈夫か?」
「ぅ、……っん、ぁ……」
奥までおさめてしまうと、青年はわたくしの中で動くのを一度、止めました。苦しげに呼吸を繰り返しているのは、わたくしだけではありませんでした。彼の汗が、わたくしの上にぱたた、と落ちかかり、ぐじゅ、とどちらかが身を捩るたびに卑猥な音を立てる秘部は、わたくしの自立する力を根底から削ぎ、奪ってゆきます。
「ぁ……、ぁっ……」
何をどうしたら彼を悦ばせられるかを考えていた頃とは比べ物にならない圧倒的な悦楽が、わたくしを蕩かしてゆくようでした。白濁を噴出することを封じられ、後ろだけで快楽を得ることを覚えさせられたわたくしは、息をすることすら難しく感じるほど、ぐずぐずに溶けていってしまったようです。その時、ふと視界の中で、彼がわたくしに笑いかけたような気がいたしました。
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