いくらねちっこくほぐされたからと言って、ゆるゆるになったわけじゃねぇ。ましてや、デケェ杭を打ち込んでいいわけでもねぇんだ。 「はぁ～……っ。　お兄さんのナカ、すっげぇキツイ……さいっこ～」 「は、あ、ァあ……っ」 　熱い。 　広がる。 　苦しい。 　怖い。 　セックスは好きだが、俺は至ってノーマルな性癖だ。女とアナルセックスなんかしたことねぇ。だから、する側の気持ちなんざわかりっこない。 　――なのに、される側の気持ちは知ってしまった。 　見た目を裏切る凶器みたいなチンコを遠慮容赦なく突っ込んだアリスサンは、硬直している俺にもたれかかるようにして熱い息を吐いている。俺も女に突っ込んだ時はそういう息を吐くから、気持ちは分かるさ。 　だが、そんな軽口を言う余裕はねぇ。 「う、ぐ……く、うゥ……ッ」 　呼吸をすることによって、僅かにアリスサンの体が動く。そして俺が逃げるように身じろぎもする。 　その小さな動きによって、アリスサンのチンコがピクリと反応するもんだから……尚更俺は、体を強張らせた。 　そんな俺と距離を取るように、アリスサンは上体をほんの少し起こす。 「しおらしくしちゃって、どうしたの？」 「う、っぜ……ッ」 　こんな悪態しか吐けない自分にガッカリだ。 　オスみたいなギラついた視線を送ってくるくせに、口元だけ余裕しゃくしゃくって感じに歪ませてるアリスサンは、俺の腰に両手を添える。 「な～んだ、余裕あるんじゃん」 　そう言うや否や、突然――アリスサンは、腰を引いた。 「ぎ、ィあッ！」 「あ～、すっごい……マジで処女って感じ～」 「ッたり、めぇ……だ、ろ……ッ！　ぬ、抜け、バカ……ッ！」 「ん～……」 　悩むような素振りを見せながら、アリスサンがズルズルと凶器を抜いていく。どうやら抜いてくれ――。 「――ぁガッ！」 　――るわけがない。 　もう少しで抜けるってところまで、アリスサンは腰を引いた。なのに何の前触れも無く突然腰を打ち付けられて、驚くなって方が無理に決まってんだろ。 　空いていた距離を必死に埋めようとしているかのように、デケェチンコが奥まで突っ込まれる。その感覚に戸惑わない程、俺のケツはできちゃいねぇ。 「お兄さんはさ、おっぱいの大きい美女に『抜いて』って言われて、素直に抜く？」 「ふ、ぁ、ガ……はッ、ァ」 「それが答えだよね～」 「ィぎッ！」 　アリスクンの言い分は分かる。俺だって男だ。いくら相手が辛そうでも『抜いて』って強請られても、自分のチンコが気持ち良かったら抜かねぇ。相手は無視だ。 　だが、それはそれ。これはこれだ。今辛いのは俺なんだから、抜いてほしいに決まってんだろ。 　それでも、アリスサンが抜いてくれるわけないがな。