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第11話 *

 熱の塊みたいなものを突っ込まれて苦しいし怖ぇのに、アリスサンは決して手加減……ましてや、止めたりしてくれなかった。 「動くよ~」 「ィ、ヤダ、や――ァあッ!」  確かな質量が、内側を蹂躙している。腰を引けば体がフワッとして、打ち付けられれば息が詰まった。濡れてるわけじゃねぇのにドロドロに塗りたくられたローションのせいで、ジュポジュポとかいう訳分かんねぇ音も聞こえてくる。  最悪中の最低。そう思わずして何て思う? 「あッ、がッ、は――ァアあッ!」 「ハハッ! 可愛いかわい~」  天使みたいな顔して凶器を穿つ大悪魔ヤロウの楽しそうな声が上から降ってくる。それすらもイヤで首を横に振るが、一向に声も音も消えない。  ズンズンと奥を掘られ、入り口なんて感覚が麻痺してきている。何度も熱い肉の棒で擦られてるんだ。焦げてないだけマシだろう。 「奥を突くと、ギュ~ッて締めてくるね? 何でかな~?」 「知、るかッ! いいから、サッサと抜――あ、はアッ!」 「ダメダメ~。『知るか』じゃなくて、ちゃ~んと理由を考えなくちゃ」  ふざけた質問への回答を拒絶すると、考えないようにしたい俺に無理矢理答えを考えさせる。質問と同じ状況作り――奥にチンコを突っ込み、アリスサンがもう一度質問してきた。 「今、締めたの分かるでしょ? 何で?」 「ぐッ、う……ッ! 強張、って……ッ!」 「筋肉の強張り的な? ん~……残念ながら不正解」 「――あッ!」  まるで薄い本みたいに、不正解のお仕置きとでも言いたげな腰の動き。求めてもいない奥を突かれた。当然、悲鳴が出る。 「じゃあ、違う質問。抜こうとしたらきゅ~って締めてくるのは何で?」 「だから、知ら――あァッ! はッ、あッ!」 「少しはその足りない脳みそ使ってあげなよ~?」  日常会話みたいなノリで話を振ってくるくせに、抽挿に遠慮も容赦もねぇ。  何度もチンコを浅いところまで引き抜かれて、その分何度も奥を突かれて……何が何だか、ハッキリ分からなくなってくる。  熱いのを熱いと感じなくなってきたのは、俺のケツがおかしくなったからか?  広がるって思ってたのに、今じゃピッタリだなんて思ってやがるのは何でだ?  奥を突かれたら苦しかったのに、今じゃ苦しくない方が苦しいだなんてどういうことだよ?  そもそも、怖いってのは何が怖かったんだっけ? 「おに~さんっ」  天使みたいな声に呼ばれて、潤んでるんだか滲んでるんだか分からない視界を何とかハッキリさせる。  映ったのは、汗を浮かべた美少年だ。 「ショートケーキ一個分、素直に甘えて楽しんじゃおうよ?」  それはケーキよりも甘くて……生クリームよりも重たい誘いだった。

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