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第12話 *

 自分の声を悲鳴だと思わなくなったのは、アリスサンのせいだろう。 「あッ、はッ! ひ、がッ、ぁあッ!」  バチュなんだかズンなんだかよく分かんねぇ音も、今じゃどうだっていい。 「ふ、ははッ。お兄さんのナカ、すっごくうねってる……ッ」  悪魔みたいな天使の声が『耳に心地いい』とは、思っても口には出さないさ。  そんなこと、どれもどうだっていい。  ――今、何よりも重要なのは……凶器みたいなチンコで、俺がどれだけ気持ち良くなれるかどうか。……ただ、それだけだ。 「はッ、あァッ! お、くッ! 奥、足りねェんだよ、バカ……アッ!」 「ココでしょ? さっすが素質のある処女ビッチお兄さんっ。ショートケーキ一個分は伊達じゃないね~?」 「ッざけんな、アホ――が、はアッ! ぐ、ゥあッ!」  執拗に奥を狙ってくるのは、締まって気持ちがいいからなのか俺へのサービスなのか……真意は分かんねぇ。ぶっちゃけ、どっちでもいい。  盛った獣みてぇに腰を振ってるアリスサンを睨んで、俺は吠える。 「はッ、んあッ! 一個、じゃなく、てッ! 二個分だっつの、アホがッ!」  しまった。百個とか言えば良かったか。だが、今更言い直すのはバカらしい。それこそガキくせぇ。一の次は二なんだし、倍なんだから、もうそれでいい。考える余裕もねぇ。  ゴリゴリとケツん中を犯されて女みたいに喘がされて……それが【ケーキ一個分】ってのが気に食わねぇんだ。ギンギンに勃起させてるくせに、雑な評価してんじゃねぇよって言いてぇ。そういう意味の反論だ。  それが分かってるのかどうなのかは知らねぇが、アリスサンは可笑しそうに笑っている。 「あっはは! うんうん、いいよいいね~? バカっぽいけど、そういうのもボクはいいと思うよ?」 「うる、さ――ァあッ!」 「可愛いから、奥をい~っぱい突いてあげるね?」 「ひッ、ぎぁッ! あァ、あッ、がッ!」  遠慮の無かった腰遣いが、更に容赦の無いものに変わっていく。一定の心地いいリズムで動かされていたチンコが、今じゃあ俺の呼吸を待たない速い動きだ。完全にアリスサンが自分のチンコを気持ち良くしたいだけの動き。ネコの俺なんざ無視。  ――なのに……そんな凶器に狂喜しているなんて、クソも面白くねぇシャレだ。 「はアッ! あ、アぁッ! そ、んなッ! 奥ばっかッ、やめッ! ひ、ぎゥッ!」 「やめてほしいの? ふ~ん……?」  訝しむような口調で何かを呟いたアリスサンが、ズルズルとチンコを引き抜いていく。 「じゃあ、やめよっかな? ボク、ムリヤリって好きじゃないし」  嘘吐け。ゼロから百まで全部無理矢理だったろうが。  という文句を言いたかったのに、口から出てきたのは別の言葉だ。 「――抜くんじゃねェッ!」  ――本当に、俺はどうしちまったんだ……ッ!

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