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ぼんやり天井を眺めては溜め息が出る。
俺の人生において、イレギュラーが発生しちゃったから、思考停止。
いや、うん、好きだけどさ…。
嬉しかったけどさ。
なんか、違うじゃん?
愛あるセックスに憧れてたのに…。
兄ちゃんから言われてたのに、沼にはまって抜け出せない感覚。
次があるかもしれない。
期待しだしたら、止まれない。
恋こそ、したことあるけど…男しか好きになれなかったし、ましてや本番があるなんて想像したことなかったし、だからやり方なんて知らなかったわけだし…。
自覚すればするほどしっくりくるから困る。
「失礼します」
おや、この声は!
「三鈴!」
ベッドから身体を起こす。
カーテンを開けて顔を覗かせたのは、親友の日下部三鈴だ。
「いま、お前という存在が一番ホッとする〜」
「え、気持ち悪いな…。さっき、伊藤龍星が教室に来て、お前が保健室で寝てるからって伝えに来たぞ。お前、大丈夫か」
「は!?まじかよ!!ほっといてほしかったのに!あー、これで俺は伊藤龍星と関係あるって皆に知らせたようなもんじゃん…くそ」
「…話が見えないんだけどさ。伊藤龍星と…もしかして、ヤッちゃった?」
「え、」
あんぐり開いた口が塞がらないって本当にあるんだな。
え、そんな分かりやすい!?
「ちが…」
「…ま、何となくわかったし。いいよ、言うな。で?ハマっちゃった?」
「うん」
「ありゃ。ドン底まっしぐらな(笑)副会長ともあろう人がセフレかぁ。冗談?」
「じゃないから、ゲンナリしてんだろ…次があるって期待してるんだ…俺、おかしいよ」
「まぁ、伊藤龍星は性欲バカだだけあって、上手いらしいし?相手が悪かったって思えばいいって。俺は親友が傷つくのは見てられないな〜」
「でも…」
「好きなの?」
「うん…たぶん」
「協力しようか。俺はドン底より幸せ選びたいね。親友に任せろ。いずれはお前の彼氏に伊藤龍星を届けて見せよう!」
「…そんなことできるの?」
「さぁ…大丈夫。俺、良い奴だから」
三鈴が今日ほど、頼りのあるやつだと認識する日はない!
三鈴は頭もいいし、観察眼もすごいし、少し頼ってみてもいいよな。
「三鈴、お前は神か?」
「上手くいったらなんか奢って」
「了解」
「もう平気?教室戻れるか」
いや、ケツが…くそ痛い。
広げられた感覚がいまだに残っている。
初めてだったから記憶があまりない。
気持ち良かった…のは覚えてる。
後になってみて、初めてケツが痛いことを知った。
そりゃ、そうよ、異物混入だもんな!?
「大丈夫、行こうか」
「無理すんなよ、帰ってもいいんだぞ」
「頑張る…寝るかもだけど」
痛むのを我慢し、教室へと向かった。
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