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2,望んでないもの
案の定、その後の授業ほとんど聞いてるように見せかけてほとんど寝てしまった。
頭に入ってこなかった。
あとで三鈴にノート見せてもらって帰って復習しないと。
帰る用意を整えて、生徒会室へ向かう。
扉を開けて真っ先に会長に目を止める。
「会長、あんたなぁ…この前の仕事、俺に押し付けたやつあっただろ。あのせいで伊藤龍星に目付けられたんだからな!!しかも帰りが最近遅いって心配性の母さんからも何か言われるようになったし!最近のあんたは仕事サボりすぎ!新城ここに連れてきてもいいから自分の仕事くらい全うしてくれ!」
あ、やばい、一気に酸欠が来た。
「暮沢くん、本当にごめんね。親御さんにまで迷惑かけてたなんて…それは僕が悪かった。仕事はやるよ。僕のこと真剣に叱ってくれるのは、暮沢くんと三葉だけだから嬉しいよ」
「…あっそう…」
呆れた…怒る気失せた。
「で?その新城は?」
「あ、今日はね、生徒会終わったら迎えに行くって伝えてあるんだけどね。伊藤くんと屋上で遊んでるみたいだよ」
伊藤くん…。伊藤…。あ、伊藤龍星のこと。
そういえば…新城と伊藤龍星は仲間だったっけ。よく一緒に居るの見るな、そういえば。
「ん?伊藤龍星くんと言えば、暮沢くん。どういう関係なんだい」
流してくれたと思ったのに!!
「別に。空閑が知っていいような関係でもないし、知らない方がいいってこともあるだろ…。それに、自分が一番認めてねぇよ…こんなの」
「ふーん…暮沢くん。いい加減だと思ってるようだけど、僕は人より観察眼持ってるんだよ?ダメだって思ったらいつでも弱音吐きにおいでよ。三葉を巻き込んでもいいんだからね」
「お前はいいのかよ…自分の恋人だろ、新城は」
「うん。僕が許可するんだから。三葉は優しいからね。協力してくれるよ」
はぁ?それ、お前にだけだろ。
新城もなかなかに俺からしたら苦手なんだけど。
「どーも。その時が来たらな」
喋りはこの辺にして席に着き、書類整理に入る。
黙々と作業をしていれば割と無心でいられた。
やっぱ、地道な作業って俺に向いてるのかも。
そういう仕事とか、進んでみてもいいかなとか。
「会長、終わりそう?」
「んー、もう少し。暮沢くんは?」
「俺はキリがいい。そろそろ帰るけど」
「なら、あとは僕がやるよ。ごめんね、いつも残らせてばかりで。今日は僕が残るよ」
「お、今日は会長らしいじゃん。なら頼む。お疲れ」
荷物をまとめて、扉を開ける。
噂をすれば、新城三葉が廊下に座ってケータイを見ているのが目に入った。
迎えに行くとか言ってたけど…新城から来てくれてんじゃん。
…なんか、いい関係だよな。
「…羨ましい」
「あ?…暮沢かよ。かいちょーは」
「仕事中です」
「あっそう…。なぁ、なんかあった?」
ビクンと肩が揺れる。
「な、んで?」
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