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3,埋めたい隙間
グイッと押し返される。
「え、なに…」
「ふざけるな!!俺のこと変えたくせに!振り回されたくないのに!自分で考えろよ」
パッと身体を離し、振り返らず屋上から中へ入る。
急に恥ずかしさが出てきた。
俺としたことが…なんてことを。
こんな俺でも感情に任せてものを言うことがあるのか…。
俺を好きになれよ、俺を好きだと言えよ。
あんなつまらなそうな顔、腹が立って仕方がないだろ。
好き勝手やってるくせに、どの面下げて。
俺をこんな風にされたのに、許さないからな。
俺に擦り寄って付き合ってくれと泣き言言いに来いよ!
教室に戻るなり、食欲もなく机に頭を伏せる。
「充。大丈夫か」
「三鈴…俺、どうかしちゃったんだよ」
「だろうな」
「三鈴、俺はあいつと普通の恋人になりたい」
「そうか」
それ以上は言葉も続かなかったし、それ以上三鈴が何かを言うこともなかった。
「…ありがとう」
「何が」
きっとこれには答えはいらない。
お礼の意味を理解しているのに分からないフリをしてくれてる。
三鈴が友達で良かったと改めて思う瞬間だと思う。
「帰り、コンビニで何か奢るよ」
「本当か!三鈴、俺を甘やかして〜」
「はいはい(笑)」
頭を撫でられて苦笑いする。
最近、伊藤龍星に絡まれてばかりいたから、友達との楽な時間なんてなかったからな。
やっぱ、落ち着くよな。
その後の授業は色んなものを払拭するように頭をフル回転にして、授業に集中しまくった。
「充、帰るか」
「おっけ」
荷物をまとめて教室を出る。
「奢るってやつ、コンビニじゃなくてもいいよ。ご飯でもあり」
「あ、じゃ、ご飯で。飯代浮く!」
「うわ、最低」
話しながら校門まで来たところで、後ろで名前を呼ばれた。
「く、暮沢!!」
「え、伊藤龍星…」
「少し、いいか」
「…いいよ」
三鈴の奢りは後日にし、龍星に付き合うことにした。
2人で歩き、ちょうど公園があり、そこでブランコに腰掛ける。
「何かわかった?」
「…その前に、さっき居たやつが好きなのか?恋人か?」
あ、そういえば。作戦で仲良くするってやつあったっけ。
「ただの友達。ただの良い奴」
「そうか…はぁ…」
「…なに。ため息つくほど嫌なことでも言うつもりか!?」
「いや!違う…そうじゃない…。話せば長くなるから言わないけど、物心ついた時から、あー、そういうことには興味があって。初めは彼女だったけど彼女の体力が持たなくて…それが俺にはだんだん足らなくなってヤれるなら誰でも良くなってた。好きになるだけ俺には無駄だと思ってたからな」
「…すごい過去だな…足らなくなったって…どんだけ絶倫なんだよ!?」
「まぁ、聞けって」
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