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…知らながったが、先輩は頭が本当にいいのだ。普段そんな素振りもないのに。分析や思考回路も大人な気がする。 「それもそうか…」 樹生、ごめんな。俺も兄ちゃんも男が恋人だもんな。そんなの嫌だよな。 「難しいな…」 「気にすんなよ。お前が悪いわけじゃない。そのうち乗り越えるきっかけに出会える。それを信じてやれよ。兄だろ」 「そ、そうだよな!?お兄ちゃんだもんな」 何も難しいことじゃなかった。 別に、間違ったことしてないもんな。 男が恋人だったって、間違いなわけない。 よく言うやつだけど、好きになった相手が同性だっただけだもんな。 「先輩、ありがとう…ございます」 「お前がしおらしいと可笑しいな(笑)いつもみたいにタメ口でわーわーしてたらいいだろ。仕方ないよな、ダラしがないから年上に見えなかっただろうしな。生徒会副会長にして乱暴(笑)影で言われてるの知ってるか?」 「ひ、人がせっかく…!くそぉ」 「…単純(笑)充分元気じゃん」 あ、まさか。 また、だ。たまらなく、恥ずかしい。 ダラしがないなんて、そんなわけないだろ。 この人は…やっぱり先輩で大人なんだ。 …この人が、好きだ。 「どした」 「ハッ!あ、いや、ごめん、違う!何でもない」 「…ふーん」 なんか、だんだん居心地悪くなってきたぞ。 逃げてもいいだろうか! 「ごちそうさま。俺、もう風呂入ってくる」 兄ちゃんは食べ終わるなり早々に風呂場へ行ってしまった。 姉ちゃんは…。 「ごめん、充。彼氏に呼ばれてるからちょっと出てくるね」 か、彼氏!!!! なんでだぁ!2人きりになってしまった! 「お前の兄弟、気が利くよな」 「そ、そうかな」 「さっきから浮ついてね?なんか嬉しいことでもあった?」 「べ、別に?」 カタンと音が鳴る。 「目見て、話せよ。やましいことがあるって勘違いするだろ」 顎を掴まれ、強制的に目を合わせられる。 「あ…いや、別にそんなんじゃなくて…緊張してて、好きな人と家でご飯なんて…」 恥ずかしい…。 こんなことで心配かけてしまうなんて。 「可愛いこと言うなよ、充…なんかしてやりたくなる」 「するなよ…」 「しない。俺のこと信用してもらいたいからな」 それは、信用というより、我慢…。 俺が嫌がることはしたくないっていう…。 そう考えてくれることは嬉しい。 だけど…。 「帰り!送っていく…駅まで。もっと一緒にいたいから…」 「やった。お願い。俺も同じ気持ちだから」 帰り道、夜だからと手を繋いで歩いた。 こんなにも幸せだと思わなかった。 一緒に居ることが嬉しかった。 この関係が永遠に続けばいいのに。

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