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時間というのはあっという間に過ぎるもので。 早くも文化祭同日という日がやってきた。 楽しみにしていたんだ。 気合い充分だ! いつもより髪に、服装に、身だしなみに気を使い、少しでも龍星に気にしてもらいたい。 文化祭を少しでも楽しんでもらいたい。 今まで参加してこなかった龍星に。俺といることで最高の1日になれると嬉しい。 「よし…行ってきます!」 いつもは兄、弟と3人揃って登校するが、今日はいつもより早く家を出る。 電車を乗り龍星が使う駅で降りる。 待ち伏せ…なんて引くかな。 こんなにも気分が上がってるのがおかしい。 少し前の自分ならありえないことだったのに。 先輩、まだかな…。 腕時計に目を移しため息をついた。 「今日を楽しみにしてたやつが幸せ逃がすようなため息ついてどうした?」 「うひァっ!?」 び、びっくりしたぁ!! 足音全然しないから気づかなかった。 「せ、先輩…いつから」 「けっこう前。驚かそうと様子見てた 」 「もう…!ばかやろうっ」 「ん、可愛い可愛い」 頭を撫でられる。ほんと…嬉しそうな顔しちゃって。俺のどこがそんな可愛いんだよ、自分で言うのもなんだが…趣味悪いよ、先輩。 「電車来るんで、早く行くぞ!」 「はいはい」 電車に乗り込み、並んで座る。 「今日、すごく楽しみにしてた。一緒に回れるの嬉しい」 「そう言ってくれるから俺も楽しみだ」 ドキッ… なんか、最近の龍星は甘すぎるくらいだ。 恥ずかしくなる。 そういえば今年は食べ物も多かった気がする。 色んなものを食べて、遊んで楽しみたい。 こんなにも気分が上がってる自分がどうしようもない。 「手が空いたら迎えに行くからケータイいつでも見れるようにしとけよ」 「わかった。頑張って」 手を振って分かれる。 当番が免除される代わりに呼び込みや、集計など細かい仕事には関わることにはなる。 「暮沢くん!さっそく呼び込みとパンフレットの配布お願いしてもいい!?」 教室に入ったら女子の二人に言われる。 「わかった。まかせろ」 受け取ってからすぐに3年のクラスへ向かう。 やっぱり気になるだろ。 仕事してるところなんてレアだ。 龍星のクラスを覗く。 さすが流行りのタピオカだ。行列が出来るほど賑わっている。 可愛いメイド風な制服を来た女の子の店員が頑張っているのが分かる。 なるほどな、あれも男性客には効果的だな。 先輩は…。 「あれ、いない!?」 これは予想外だった。

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