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おかしいな…。
どこ行ったんだ?
まさか、仕事はめんどうだからサボりか?
「あの、伊藤龍星…ってここのクラスであってますか」
入り口で呼び込みをしていた女の先輩に声をかける。
「え?君…伊藤くんとよくいる…」
「はぁ…そうですけど」
「あ、ごめんなさい。伊藤くんといること多いなって見てて。みんな、怖かったのに最近は穏やかだし、気遣いも出来て…そういうの全部、君のおかげなのかなって」
そんなこと言われてたのか。
恥ずかしい…。
龍星のことが認められているのは素直に嬉しい。
「えっと、伊藤くん、さっき呼び出されて出ていったよ」
「呼び出し!?どこいったんですか、いつ!」
「ええ?…30分ほど前だけど…どこかは知らないわよ」
気圧されたように後ずさりされる。
そうだよな、焦りすぎた。
「あ、すいません…デカい声出して」
「大丈夫だから。それより、探しに行くんでしょ?早く行ったら?伊藤くん、いつもと違って今日はイヤイヤついて行ってたから」
え?
嫌なのについて行った?
それって、弱み握られて脅されてるとか!?
1番考えられる推測はこれだ!
だったから。
「ありがとうございます!」
頭を下げてから駆け出す。
人混みを避けて、文化祭には使われない校舎へと向かう。
この辺ならどこの部屋使っても滅多に人は来ない。でもそんな危険をおかすくらいなら、より安全な部屋を使うだろう。
どこだ?
一番端、1番上の階段の踊り場!!
あそこなら!
そうと決まれば走り出す。
いる保証はない。
分かるわけないんだから。
学校で連れ込むほど飢えてないし、連れ込みやすい部屋なんて俺が分かるかよ…。
でも、俺は…。
伊藤龍星の恋人だから!!
踊り場を勢いよく覗くが誰もいない。
なっ…!!
ここじゃなかった…。
どこなんだよ!俺じゃ頭が回らない。
それに…足、もう疲れた…。
「こんなところで何してんだ?」
ビクンと肩が揺れた。
なんで、三鈴がこんなとこに…?
「先輩探してて…」
「ふーん…ここの列の教室、片っ端から見てみたら?当てずっぽうで当たるとは限らないしな。端から見るのが早いこともある」
「なるほど!さんきゅ!…って三鈴、仕事は…」
「あー、うん。ちょっと任せてきてるんだ、すぐ戻るな」
そう言ってかけていく三鈴。
え、ますます謎が深まる。
最近の三鈴、なんか…隠してるような。
…って、いまはどうでもいいことだ。
早く、先輩見つけて文化祭一緒に回るんだ。
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