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 寮の食堂はバイキングで、好きな料理を取って食べられる仕組みだから、節約の為に少なくしている訳じゃない。ただ少食なだけなのだが、まるで保護者のように色々と世話を焼いてくれるから、叶多は渋々苦手な肉を食べるのが常となっていた。 「お、今日は珍しいのが来てる」 「え?」  二人が各々皿を満たして席につこうとしたその時、食堂内にざわめきが起こり、続いて聞こえた瞬の言葉に叶多は一旦動きを止める。彼の視線を追うようにして入口付近をチラリと見ると、確かにいつもは見ない人物が入って来た所だった。 「…… ホントだ」 「生徒会の副会長と書記だ。何かあったのかな?」 「さあ、どうだろう」  もし例えそうだとしても、自分には関係無い。そう思った叶多が動作を再開して椅子に座ると、つられるように座った瞬が顔をこちらに近付けて来た。 「いい? 彼らには絶対、近付いちゃダメだよ」 「分かってる」  一月前に転入してから何度も言われ続けている事を、念押しのように又言われて、叶多は口を綻ばせる  今までここまで親しくなった友人なんていなかったから、ただ純粋に嬉しかったし、自分も瞬の力になりたいと思うようになっていた。何故近付いちゃいけないのかは教えて貰ってないけれど、瞬がそう言うのだから、きっと何かがあるのだろう。  ―― まぁ、僕なんかが近付く機会は、絶対に無いだろうけど。  生徒会のメンバーは、この学校の生徒の中でも特に家柄が良い人達だと瞬から聞いた事があった。食事も部屋に運ばれるから、寮で会う事はあまり無いとも。  そんな彼等が此処に来たのが余程珍しいのだろう……遠巻きに皆が彼らを見ているのが空気で分かる。

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