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「瞬、これってどういう……」 「とにかく出よう」  不安になって口を開くと、眉間に皺を寄せた瞬が、叶多の腕をガシリと掴んでそのまま部屋まで連れていく。 「ちょっと……瞬?」 「ごめん。嫌な思いさせちゃったよね」  彼の部屋に入った途端、振り返った瞬が眉尻を下げて謝罪して来るから……余計に意味が分からなくなって、叶多はかなり混乱した。 「一体、さっきのはどういう……」 「ごめん叶多、話してる時間が無いから、大事な事だけ言っておく。部屋に行ったら何を言われても叶多は絶対〝はい〟って答えて」 「……行かないっていうのは、ダメなの?」 「それだけはやっちゃいけない。とにかく今は、俺の事を信じて欲しい」  まるで哀願するように言われ、叶多は益々不安になる。  だけど、何が起ころうとしているのかも、どう受け止めればいいのかも、全く以って分からないけど、今の自分に出来るのは、初めて出来た友人を信じる事だけだと思った。 「それで……」 「小泉君はここにいますか?」  更に口を開いた瞬が何か言いかけた丁度その時、叶多が立つ背後のドアがノックの音を響かせる。 「……いるよ、すぐ行かせるから、先に行ってて」 「それは出来ません。連れて来るように言われてるので」  聞こえて来たのは先程会った伊東とは違う高めな声。  耳には優しい声音だけれど、圧迫感があると思うのは、状況のせいだけなのかは今の叶多には分からなかった。 「……瞬、とりあえず行ってみるよ」  部屋まで迎えを寄越されてはもう行くしか無いと諦めて、叶多がそう瞬に告げると、苦い表情になった彼が真っ直ぐこちらを見つめてくる。

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