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「で、その特権の一つが、従者を一人選べるっていうものなんだけど…… 従者が何か簡単に言うと、君が御園にしていたような事をする人って言えば分かり易いかな? 役員の身の周りの世話をする。命令には絶対に逆らわないっていう役割の生徒の事で、この風習は学校設立当初から百年近く続いている」
「……」
「名目は従者だけど、実際には性欲処理の相手も出来る利口な駒ってトコかな? 会長が決めないと、他の役員も決められないから、早く決めてってお願いしたら、小泉君にするって言うから早速来て貰ったって訳」
「何でそんな……そんな制度があるのはおかしい」
そこまで話を聞いた所で疑問が自然に口をつく。
性欲処理なんて言葉をサラリと口に出来る事自体、普通ならばあり得ない。誤解されてはいるものの……御園にしていたと言われた事が、制度として存在するのは絶対に間違えている。
「まあそうだろうね。おかしい。けど、存在している。だから引き継がなきゃならない。例え学長の息子であっても……学長の息子だからこそかな?」
「余計な事は言わなくていい」
「これは失礼」
抑揚の無い低音に、慣れない叶多は竦み上がるけど慣れているのか伊東はまるで萎縮している様子が無い。
「まあ、理由はあるんだけど、それはこの際関係無い。君に出来る返事は二つ、はいかいいえ……それだけだよ」
どうする? と、耳の近くで囁くような声がした。
背筋の辺りがぞわぞわして、たまらず後ろを振り返ると、薄い笑みを浮かべた伊東と至近距離で視線が合う。
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