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「話があるんだけど、ここじゃちょっと……すぐ済むから一緒に来てくれないか?」 「え? でも……」 「大事な話なんだ。久世君の事なんだけど」  声を潜め、チラリと周りを伺うように告げられて……どうすればいいか迷うけれども、瞬の名前を出されてしまえば、話だけでも聞いておきたいと思ってしまう自分がいる。他人経由で話を聞くのは良い事じゃないと思うけど、接触を禁じられている今、大事な話と言うのであれば否とはとても言えなかった。 「……分かった。どこに行けばいい?」 「ついて来て」  ホッとしたような表情をした彼に誘(いざな)われ立ち上がる。一人には慣れているつもりでも、久々に人と会話出来たのが内心少し嬉しかった。  ―― そうか、僕は……淋しかったんだ。  転校してから楽しく過ごせていただけに、今の状況が思った以上に辛かったのだと、ここで初めて気が付いた。 「第二校舎に行くから、少し離れてついて来て」  教室を出た所で言われ、叶多は小さく頷き返す。  多分、自分と一緒に歩いているのを見られたくは無いのだろう。何となく訳は分かったから、黙って距離を少し置いた。第二校舎は特別教室棟になっていて、休み時間には人が居ないから、きっと都合が良いのだろう。  ―― 一体、瞬に何が?  同じ教室で見かける彼に、変わった所は見られなかった。たまに視線が合った時には少し表情が硬くなるけど、それは自分も同じだろう。

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