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「逆らっても無駄だって」
「やっ、離……して!」
嘲るような男の声に、それでも叶多は必死に脚へと力を込めて抵抗した。例え、無駄な足掻きだと分かっていても、諦めが胸を支配しても……ただ言いなりになれる程には未だ達観してはいない。
「面倒臭いな。岩崎君、アレ出して」
「……いいのかよ。ここ、学校だぜ」
一層冷たくなった声に、戸惑うような岩崎の答え。彼らが何をしようとしているかもう分かっているけれど、岩崎が出した物の正体はまるで想像がつかなかった。
「いいよ。会長も遊びの駒がどうされようが、どうせ何も言わないさ。コイツは、退屈してる俺らの為の遊び道具なんだから」
「知らねーぞ。幾らお前が……」
「余計な事は言わない方が利口だよ。岩崎君」
「……分かったよ」
渋々といった様子で答えた岩崎が、叶多の頭の近くへ来る。そして手にした瓶を開き、錠剤を取り出した。
「口、開けろ」
顎に掌が添えられるけど、そんなやり取りを聞いた後で開く事なんて出来やしない。
「気持ちよくなるだけだから……な」
歯を食い縛る叶多の唇を、あやすように撫でる男の指の感触が気持ち悪くて、顔を背けたその途端……。
「何をしている」
知っている低く良く通る声が、ドアを開く音と同時に頭の上から響いてきた。
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