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「……自分が悪いって認めるんだな?」
「あっ、やぁっ!」
言うや否や、答える時間も与えないまま須賀が腰をガシリと掴み、「離せ」と一声掛けただけで、手足を拘束していた手が一旦全て離れていく。
「あっ……ううっ!」
そこから先は一瞬だった。宙に浮いたと思った途端、胸が机上に打ちつけられ、自分が伏せに返されたのだと少し遅れて理解する。
「なっ……うぅっ」
腰から上だけ机に乗せられ手首を再度掴まれて……脚は床に届かないから不安定な体勢だけど、それより叶多を怯えさせたのは須賀の動きが全く見えない事だった。
「躾は、最初が肝心だからな」
尻を軽く撫でられて、怯えた叶多は指をギュッと握り締める。
――どうして、こんな……。
酷い仕打ちを受けるのか、全く以って分からなかった。
「また震えてるのか? まだ始まってもいないのに」
喉を低く鳴らす音。嵐のようなこの時間に、絶望感は深まるが、だからといって永遠に終わりが来ない訳じゃない。
―― そうだ……いつか絶対、終わる。だから……。
「ひっ……やあぁっ!」
バシリと空気を引き裂くような大きな音が鳴り響き、続いて臀部を襲った痛みに叶多の身体が大きく揺れた。
「あっ、あっ……あうっ!」
続けて二度、三度……と尻を打たれ、容赦のない須賀の掌に堪らず逃げ出そうとするが、抑えて来る手は緩まないから爪が机を引っ掻くだけだ。
「で、何が悪かったんだ?」
「あ、あ……」
一旦手を休めた須賀がそう声を掛けて来るけれど……打たれたショックが大き過ぎて上手く言葉を返せない。
「やっぱり。分かって無いのに謝るなんて、お前、最低だな」
「くっ……あうぅっ!」
また強く尻を打ち据えられ、ビクリと身体が跳ね上がった。宙に浮いた爪先がヒクヒクと痙攣して空気を蹴るが、お構いなしに須賀は何度もスパンキングを繰り返し、その都度叶多の唇からは喘ぐような悲鳴が上がる。
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