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殆ど慣らしていないのだから、本来排泄口であるそこが簡単に開く筈はない。そんな事にも気付けないのか、それともわざとやっているのか……どちらにしても叶多にとっては苦痛でしか無い行為だった。
「少し緩めろ」
「いっ……うぅ……」
尻を軽く殴打され、意識とは別に体がガタガタ震えだす。胃を下から押しあげられる感覚に吐き気がして、何度かえずいた叶多の耳にまた舌打ちが聞こえて来た。
「もう少し慣らした方が……」
「……煩い」
頭の上から諭すような伊東の声が聞こえたが、須賀に一蹴されてしまえば心得たように口をつぐむ。
「どうしようが俺の勝手だ」
「あっ……あっぅぅ!」
腹の底が凍えるような冷たい声音に怯えた途端、一旦浅い場所まで抜けたペニスが再度突き挿さり……引き攣るような痛みに喘ぐと後ろから髪を掴まれた。
「御園とヤッて慣れてんだろ? だったら、もっとそれらしく喘げよ」
見下したような須賀の声。どうしてそこまで憎まれるのかが分からず首を横に振れば、苛立ったように尻を叩かれ、すぐに律動が始まった。
「やっ、あ、あぁっ!」
こんな行為に慣れてなどいない。だけどそれを言った所で信じてなど貰えないから、諦めが胸を支配して……叶多は心を閉ざそうとした。そうしなければ保てない事は、今まで散々学んで来た。
御園と自分の間には、須賀の言うような関係は無い。幼い頃から一緒に居て、これからもずっと彼の傍らで、役に立てれば良いと思って過ごしていただけなのだ。
陰で何を言われていても、隠れた所でどんな仕打ちを受けようと、御園が笑いかけてくれたなら、どんな事でも我慢できた。
―― あんな事さえ……無かったら。
「逃げるな」
「っ!……や、あぁっ!」
叶多の精神的な逃避を見透かしたように深く穿たれ、堪らず脚をバタつかせると太股辺りを掴まれた。
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