42 / 301
40
「ボロボロだな」
「……っう!」
ツウっと鎖骨を指でなぞられ、震えが更に酷くなる。
「お前は……今日からここで寝ろ」
「そん……な、僕は、自分の部屋で……あぅっ!」
否を口にした途端、きつく乳首を抓られた。痛みに逃れようとすると、小さな尖りが限界まで引き延ばされて身体が跳ねる。
「ひっ……あぁっ!」
「返事は?」
「いっ……は、はい」
反抗しても無駄だと諦め掠れた声で返事をすると、満足したのか指が離れて叶多はホッと息を吐いた。
「今日はもういいから寝ろ」
「っ!」
無造作に布団を掛けられ、見えない叶多はその感触にもビクリと身体を震わせる。このままの状態で寝ろと須賀は言っているのだろうか?
「……ぁ」
せめて拘束は解いてほしいと喉元まで言葉が出たが、きっと無駄だと諦め叶多は口を噤んで瞼を閉じた。今日はもういいと言ったのだから、とりあえず……今晩だけは多分何もされないだろう。
―― 明日……出て行こう。
明日になれば学校もあるから、朝には解いて貰える筈だと良く回らない頭の中で、叶多はそれでも考える。
――ここは彼の部屋なんだろうか? 彼はなんで、僕を此処に連れて来たんだろう?
ドアの開く音もしないし、ベッドが軋む音もするから、その可能性はかなり高い。
―― あんなに、嫌いだって言ってたのに……なんで?
どちらにしても見えないのだから考えるだけ無駄なのだが、須賀が何を考えているか分からないから、えもいわれぬ不安ばかりが叶多の心に積み重なった。
――寒……い。
雨に打たれたせいだろうか、素肌に布団を被っただけの状態だからか分からないが、段々寒くなって来て……少しでも暖を取らなければと、不自由な身体を横に向け猫のように丸くなる。
身体の震えは寒さからなのか恐怖からかは分からないが、眠ってしまえば朝になって、そうすれば、状況もきっと変わる筈だと叶多は願った。
ともだちにシェアしよう!