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「ボロボロだな」 「……っう!」  ツウっと鎖骨を指でなぞられ、震えが更に酷くなる。 「お前は……今日からここで寝ろ」 「そん……な、僕は、自分の部屋で……あぅっ!」  否を口にした途端、きつく乳首を抓られた。痛みに逃れようとすると、小さな尖りが限界まで引き延ばされて身体が跳ねる。 「ひっ……あぁっ!」 「返事は?」 「いっ……は、はい」  反抗しても無駄だと諦め掠れた声で返事をすると、満足したのか指が離れて叶多はホッと息を吐いた。 「今日はもういいから寝ろ」 「っ!」  無造作に布団を掛けられ、見えない叶多はその感触にもビクリと身体を震わせる。このままの状態で寝ろと須賀は言っているのだろうか? 「……ぁ」  せめて拘束は解いてほしいと喉元まで言葉が出たが、きっと無駄だと諦め叶多は口を噤んで瞼を閉じた。今日はもういいと言ったのだから、とりあえず……今晩だけは多分何もされないだろう。  ―― 明日……出て行こう。  明日になれば学校もあるから、朝には解いて貰える筈だと良く回らない頭の中で、叶多はそれでも考える。  ――ここは彼の部屋なんだろうか? 彼はなんで、僕を此処に連れて来たんだろう?  ドアの開く音もしないし、ベッドが軋む音もするから、その可能性はかなり高い。  ―― あんなに、嫌いだって言ってたのに……なんで?  どちらにしても見えないのだから考えるだけ無駄なのだが、須賀が何を考えているか分からないから、えもいわれぬ不安ばかりが叶多の心に積み重なった。  ――寒……い。  雨に打たれたせいだろうか、素肌に布団を被っただけの状態だからか分からないが、段々寒くなって来て……少しでも暖を取らなければと、不自由な身体を横に向け猫のように丸くなる。  身体の震えは寒さからなのか恐怖からかは分からないが、眠ってしまえば朝になって、そうすれば、状況もきっと変わる筈だと叶多は願った。

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