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 ―― お母さん、ごめんなさい。  前の学校から逃げて、また此処から逃げ出して……自分が我慢できないばかりに、病院をまた移らなければならなくなってしまうだろうし、今までと同じような医療は受けさせられなくなってしまう。  ―― でも、僕は……。  これは、我儘なのではないだろうか? 少し時間が経ってくると、徐々にそんな思考が頭の隅の方から顔を出し、まだ自分は我慢できるんじゃないかと思えて来てしまう。  ―― どうすればいい? どうすれば……守れる?  自問に答える声は無い。徐々に腹が痛くなって更に身体を丸めた叶多は、このまま意識を落としたい……と切実に願うけど、思ったような睡魔はなかなか降りて来てはくれなかった。こんな状態で眠りに就ける程、神経も太くはない。そればかりか……時が経つにつれ痛みはどんどん酷くなる。  ―― な……んで?  知識の殆ど無い叶多には、何故こんな風になってしまったか考えてみても分からないが、アナルに直接精液を出され、後処理もされず放置されれば、当然ながら腹を壊す。『何でこんな時に』と、内心叶多はとても焦ったが……言わずに粗相をしてしまうより、当然だけど言った方が良いと思って口を開いた。 「……あの、トイレに……行きたいです」  ようやく絞り出した声は、そこにいるかどうかも分からぬ須賀に向けた物だったが、ちゃんと聞こえていたらしく……背後で動く気配がする。 「うっ」  手首を掴まれてビクついていると、カチャリと金属音が響き、次の瞬間、布団を剥がれて叶多の身体が宙に浮いた。 「っ……やめて」  手の自由は戻ったけれど、視覚は依然戻らないから、状況が読めず不安になって叶多は思わず身体を捩る。

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