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「ちょっと、じっとしてて下さいね」
突然間近で聞こえた声に、身体をカタカタ震わせると、クスリと笑う音が聞こえて、すぐに目隠しが外された。
「これは外したら怒られるので、我慢して下さい」
「んっ」
急に明るくなった視界に目を細めてからそっと開くと、見た事のある生徒が叶多の唇あたりに触れていた。
――確か、書紀の……。
「先ずは孔内(なか)のを出しましょう。自分で動けるようでしたら、うつ伏せになって貰えますか?」
「んっ……ぅ」
―― 射矢って人だ。
叶多を部屋まで迎えに来て、此処へと連れて来た人物。
初対面の時と同様に事務的過ぎる射矢の様子に、呑まれるように叶多は痛む身体をノロノロ動かして……何とか彼に言われた通りうつ伏せの格好になった。
「ご存知かもしれませんが、これから先、自分でやらなければならなくなると思うので、もし知らないようならば良く覚えていて下さい。エネマシリンジ……って言っても分からないでしょうか? これはそれの簡易版です。医療用では無いですが、あれより使い易いと思います」
「……っ」
目の前に……見た事のない道具をスッと差し出され、どう反応すればいいのか分からずじっと見詰めていると、ノズルの付いたその容れ物の先を射矢が指で示す。
「この容器にぬるま湯を入れて、ここをアナルに挿入してから中身を全部孔内に入れます。その時、肛門にはローションを付けた方が痛く無いでしょう。で、少し我慢してから、トイレで全て出して下さい。分かりましたか?」
「ん……んぅ」
「本当に驚いてるみたいですね。慣れてるんじゃ無かったですか? それとも……前の相手はちゃんとゴムをしてくれたんですか?」
どうしてそんな事をしなければならないのかと思っていると、考えを読み取ったように射矢が話しかけてくる。
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