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「話さないとは言って無いだろ。少し落ち着いたら?」
「落ち着いてなんかられない。圭吾も一緒に居たんだろ? 須賀の事……止めなかったんだろ?」
従者、会長、リンチ……それだけしか聞こえなかったが、叶多がどんな目に遭ったのかは容易に想像出来てしまった。
いつも叶多を気にしていたのに、丁度その日は教師に用事を頼まれて……思った以上に時間を取られて見失ってしまったのだ。
―― もしかしたら、或いはそれも……。
「そんなに怖い顔するなよ」
ヘラリとしか言いようの無い笑みを浮かべた圭吾に頬を撫でられて、苛立った瞬はパシリと彼の掌を払い落とす。
「もういい」
これ以上話していても時間の無駄だと悟った瞬が、そう言い放って戻ろうとすると、伸びてきた圭吾の腕が背後から肩を掴んで来た。
「そんなに怒るなよ。久し振りに瞬の方から話し掛けてくれたから、つい舞い上がっちゃった」
「舞い上がるってキャラじゃ無いだろ? 離せ」
「離したら、出て行くだろ?」
「当たり前だ」
正直、生徒会役員とはあまり接触したく無い。叶多の事さえなかったら……卒業するまで彼の近くにも近寄らないつもりでいた。
それなりの決意を以て圭吾をここへと呼び出したのに、何の収穫も得られないなら、早々に離れたいと思うのは至極当然の事だろう。
「じゃあ……こういうのはどう? 俺は知っている事を瞬に話す。だから瞬は俺の願いを一つ聞く」
「交換条件か。お前……そんな事言うからには、それなりの情報、持ってるんだろうな」
「さあ、それは瞬次第。先に言うけど俺の条件は、瞬が俺の従者になる事。それ以外は聞き入れない」
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