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「ゆっくり、待つつもりだったんだけどなぁ……嫌がるのを無理矢理っていうのは主義じゃない。だから約束する。瞬が 望んでくれるまで、俺は瞬に手を出さない。だから瞬も約束して……危ない事はしないって」
「なっ、意味が分からない。どうしてそれが交換条件になる? 俺は……」
「分かってるだろ?」
「っ!」
静かな声音でそう告げられ、背中に回った圭吾の腕にギュッと身体を抱き締められれば、心拍数が一段と上がり、瞬は自分が酷く動揺してしまっていると自覚する。
圭吾の放った言葉通りだと内心分かっているだけに、どうすればいいか分からなくなって小さく首を横に振った。
「……言ったからには何とかしろよ。じゃなかったら、例え不利でも俺が動く。友達も助けられないような人間に……もう俺は、なりたくない」
「分かってる」
以前救えなかったのは、目前にいる幼馴染みで――。
「俺が、瞬を……」
言葉はそこで立ち消えて、聞こえなくなってしまったけれど、瞬の心は泣きたいような切ない気持に包まれる。
今季になって副会長へと立候補した圭吾を見て……引け目と変わってしまったように見えた彼への苛立ちから、自分が悪いと分かってはいてもやりきれなくて、距離を置いて過ごして来た。
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