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 ―― 確か、学校へ行けと言われてた。  世話が済んだら学校に行けと須賀が射矢に言っていたのを思い出し、だから誰もいないのだと分かった叶多は身体の力を少し抜いて息を吐いた。付けたままだと食べられないという配慮からか、口枷も外されている。  ―― 今しか……ない。  逃げるならば今しかない。何日か耐えて回復を待ってからなどという考えは、焦っている叶多の中には全く浮かんでこなかった。一刻も早く逃げなければ、次いつチャンスが巡って来るか分からない。  ―― もう、嫌……だ。 「っ……うぅっ」  脚を前へと一歩踏み出す。たったそれだけで打たれた臀部や、穿たれ続けたアナルの痛みに膝を付きたくなるけれど、叶多は歯を食いしばって前へ前へと脚を進める。  ドアへと辿り着いた所で、鍵が掛かっていたらどうしようと不安が胸を過ぎったが、その心配は杞憂に終わり簡単に開く事が出来た。  ―― 良かった、誰もいない。  リビングには誰もおらず、シンと静まり返っている。  安堵した叶多はそのまま対面(といめん)にあるある自分の部屋へと歩を進め、急いで自分の荷物を纏めて服を着た。

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