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「……あぅっ」 「ナメた真似、してんじゃねえよ」  精一杯の抵抗は、須賀に手首を掴まれた事で一瞬にして終わるけれど……一層鋭くなった目付きが彼の苛立ちを如実に伝え、止まらなかった叶多の震えは更に大な物となった。 「治るまで何もするなって言われたけど……お前ホント、ムカつく。淫売の癖にそんな目で見てんじゃねーよ。それらしく媚でも売ってた方が可愛げがあるってもんだろ?」 「……っ」  ―― なんでそんな事……だったら、放っておいてくれればいいのに。  言っている事が無茶苦茶だと思った叶多は唇を噛むが、やはり言葉は喉に貼りついて声帯を揺らす事は無い。  ―― 僕は、淫売なんかじゃない。貴方達が勝手に……そう思い込んでるだけじゃないか !  本当は叫びたかった。だけど、どうしてもそれが出来なかった。 「っ!」  突然、立ち上がった須賀によって掛けられていた布団を剥がれ、寝衣さえも付けていない身体が灯りの中に晒される。咄嗟に身体を隠そうとして身動ぎをした叶多の耳に、次の瞬間入って来たのは信じられない言葉だった。 「脚、開け」  命じる事に慣れた口調に身体の動きがピタリと止まる。 「……え?」  思わず須賀を仰ぎ見ると、整った顔は相も変わらず酷薄な笑みを浮かべていた。  ―― どうして? さっき、何もしないって……。  言った癖にと叶多は思うが、どうせ口にしてみたところで『気が変わった』と言われるだけだ。 「逃げた罰だ。脚開いて、それらしく俺を誘ってみろ。上手く出来たら今回は許してやってもいい。それくらい、お前には簡単だろ?」  鎖骨の辺りの火傷の跡を長い指先が辿っていき、そのまま胸の小さな尖りを確かめるように潰されて……気持ち悪さと怒りが込み上げ、叶多は思わず須賀の掌をパシリと叩いて振り払った。

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