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「……は…い」  弱々しい声が出る。否が言える立場ではないし、何もしないで挿入されれば、また何日かは絶対まともに歩けなくなるだろう。  覚悟を決め、ボトルを持つ手をギュッと強く握り締めると、トイレへと向かう為に叶多はノロノロ身体を動かすけれど、それは甘い考えだったと直ぐに思い知らされた。 「何処に行くつもりだ?」  ようやく床に足をつき、立ちあがりかけた丁度その時、それまでずっと黙って見ていた須賀が声を掛けて来る。 「ト、トイレに……」 「誰が行って良いと言った? ここでしろ」  トンと胸元を軽く押されて、殆ど力が入らぬ身体は簡単にベッドの上へと倒された。 「でもっ」 「お前の意見は聞いてないって、いつも言ってるだろ? 馬鹿なのか?」  冷たいというよりも、呆れたような須賀の声音に目尻がジワリと熱を持ち、押し込めていた感情達が溢れてしまいそうになる。  悔しさ。  悲しみ。  憤り。  ここに来てからは毎日のように、感情をなるべく殺して人形のようになりたいと強く願いながら過ごして来た。  だけど、どうやら須賀は、そんな矜持(きょうじ)を持つ事もすらも許さないらしい。 「分かり……ました」  逆らえる筈がないのだから、尻込みなんてしていられない。どうせやるしかないのだから、早く終わった方が良いと自分で自分に言い聞かせながら、叶多は震えの治まらない手でボトルの口をゆっくり開いた。 「……っ」  トロリと滑りのある液体を、掌に垂らし指の腹で掬い取る。ベッドの上でするように言われ、それに従った叶多だが……視線が合うのは嫌だったから、須賀に背を向け膝立ちになった状態で、ローションを馴染ませた指をアナルの淵へと持って行く。 「んっ」  冷たさに、身体がビクリと脈を打つ。擦りつけるようにそこをなぞると、肛門がヒクヒク蠢動するのを感じて悪寒が走った。

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