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 恐る恐るといったように拙く指を動かしていると、手首を離した須賀の指先がアナルの淵に触れて来て……叶多は思わず空いた左手で、彼の手首を後ろ手に掴んだ。 「や、やぁっ……やめ、くださ……」  原状、右手は後孔(なか)に入っているから、自由になるのは左手だけだ。 「ありがとうございます。だろ?」 「やっ、やめて!」  耳朶を後ろから軽く噛まれ、恐怖に身体を震わせた刹那、叶多の指の脇からズブリと須賀の指が挿し込まれ……自分の細い指なんかより随分太く感じるそれに、慌てて指を抜こうとすると、許さないとばかりに彼に掌をギュッと包まれた。 「痛っ!」 「……キツイな」  滑りが足りていないせいで、中が激しい痛みを帯びる。  逃れようにも須賀の左手に肩を掴まれ、アナルに指を挿し込まれている状態では、動くことすらままならないし、抵抗する勇気も無かった。 「お前、ホントに自分でした事が無いんだな」  溜め息混じりの声が聞こえて、背筋にザッと鳥肌が立つ。また怒らせてしまったらしいと思えば身体は更に竦んで、膝がガタガタ震えだした。 「……しょうがないな」 「っ!」  もはや息すらまともに出来ない。声と同時に須賀の指先が出ていったから、今日は諦めてくれたのかもしれない……と、一瞬期待しそうになったが、そんな事はありえないからと自分で自分を戒めた。 「ほら」 「……くぅっ!」  手首を掴んで叶多の指もアナルの中から抜かせた彼が、次に取った行動は……知識の無い叶多にとっては思いもよらないような物で。

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