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「口、開けろ」 「……え?」 「聞こえなかったか?」 「い、いえ」  更に低くなった声音に叶多が慌てて口を開くと 「聞こえてるんじゃないか」 と須賀が馬鹿にしたような笑みを浮かべ、酷薄そうなその表情にギリギリと胃が痛みを覚えた。 「もっと大きく……小さい口だな」 「ふっ……んぅっ」  指を二本差し入れられ、舌を引かれて軽くえずく。  須賀の横合いに小さな箱が置いてあるのに気づいた時には、素早くそこから取り出した器具を嵌められそうになっていた。 「う……ゔぅっ」  指が引き抜かれ、何か金具のような物が侵入してくる。  それは叶多の小さな口では受け容れるのが困難な程、大きさのある物だった。 「咬まれちゃ洒落になんないからな」  何かバンドのような物を、頭の後ろに回してカチリと固定させてしまった須賀が、開きっぱなしになった唇を指の腹でゆっくりなぞる。  性の知識に疎い叶多は、開口具を見たのも勿論付けられたのも初めてだったが、自分にとって歓迎出来ない道具だという事だけは本能で理解出来た。 「ちゃんと戻って来れたから、今日はケツは使わないでやるよ」  その代わり……と付け足した須賀は、ズボンの前を寛げると、何の兆しもまだ見せていない自身を取り出し叶多の頭を片手で掴んで引き寄せる。 「ココで俺を満足させろ」 「ゔぅっ、んぅっ!」  いきなりそれを口に突っ込まれて驚きの余り目を見張る。あり得ない彼のその行動に思わず身体を引こうとするが、そんな抵抗など意に介さずに、更に強く押し付けられて彼の下生えが唇に触れた。  *** 「問題は、どうやって逃すかじゃなくて何処に逃すかって事だろ?」 「……そうだな」  冷静な圭吾の言葉に瞬は小さく頷き返す。  月曜日の叶多を見て、憤りを覚えた瞬はどうにか叶多を救い出したいと彼の部屋を訪ねたのだ。勿論、どうやって逃すのかも考えなければならないが、問題はその後だという圭吾の意見は的確だ。 「誰か居ないのか? 親戚とか……」  月曜日は眠ってはいたがそれでも登校していた叶多が、今日は体調が優れないという理由でまた休んでいた。一刻も早く手を打たなければ更に状況は悪くなる。

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