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 だけど何より、好きだと告げる勇気も持てずに、幼馴染というポジションに甘んじて来た自分が一番狡くて愚かだったと思う。  ―― 巻き込んで、ごめん。  昔も今も、瞬には他に頼れる存在などいない。結局圭吾に甘えてばかりでそんな自分に嫌気がさす。 「……んぅっ」 「もしかして、キスするの……初めて?」  一旦口を離した圭吾にそう問われ、上手く答えられない瞬が視線を逸らして頬を染めると、喉奥でクッと笑った彼に再度唇を塞がれた。 「嬉しいよ」  触れる直前に言われた言葉。彼が何故、話の途中でキスをしたのかは分からないけど、こんな機会はもう訪れないかもしれないと思うから……彼の背中に腕を回して無心にそれを受け入れた。  *** 「……っ!」  目を覚ますと視界一面に須賀の顔が映り込み、叶多が思わず息を飲み込むと、閉じていた彼の瞼が突然開いて視線がぶつかった。 「起きたのか? まだ早い、寝てろ」 「はっ……はい」  反射的に返事をしてから叶多は再度瞼を閉じるが、こんなに近くに須賀が居たのでは眠る事なんて出来やしない。気付けば両手は背中で縛られ動かせなくなっていた。 「どうした? 眠れないのか?」  少し身体を動かしながら、向きだけ何とか変えられないかと考え始めた叶多の耳に、いつものように抑揚の無い須賀の声が入って来る。 「あ、あの……手が」 「痛いのか?」  問われてコクリと頷き返すと、彼が動く気配がしたから叶多は身体を固くした。 「ああ、ちょっと擦れてるな」  叶多の身体を抱き締めるように背中へと手を伸ばした須賀が、拘束を解いて手首に軽く触れて来るけど、怖くて瞼を開けない。

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