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須賀は部屋へと戻っても……忙しいのか一時間ほどでどこかへ行ってしまうから、叶多は一人で勉強をして、迎えに来る佐野と共に食堂に行くのが常だった。
「アイツと、随分仲良くなったみたいだな」
期末テストを明日に控え半日授業となっているから、外へと出てもまだ陽は高く、肌を日射しが照りつける。
答えに困った叶多が俯き鞄を持つ手をジッと見ていると、溜め息を吐いた須賀が突然歩みを止めてこちらを向いた。
「何か喋れ」
「あ、あの……勉強教えて貰えって……」
「ああ、言ったな。で、大丈夫そうなのか?」
再び歩き出した須賀の後ろに付いて行きながら、
「多分、前回よりは……」
と返せば、鼻で笑う音がする。
「ならいい」
出会った時からずっと変わらない抑揚の無い低い声。何を思っているのか分からず、いつ嵐が訪れるのかと常に不安に包まれていた。それに、部屋に戻れば何をするのか分かっているから気持ちも重い。
―― だけど……。
それにも徐々に慣れて来ている自分が一番情けなく……叶多はそんな自分の変化を内心酷く嫌悪していた。
***
「んっ……ふぅっ」
毎日、一緒に下校しようがしまいが、須賀が部屋に戻って来ると強要されるこの行為が、最初は嫌で堪らなかったが、一週間もすれば諦めに似た感情が湧きだした。
下手に抗って更に辛い目に遭わされるより、少しでも早く終わった方が自分の為だと思ったのだ。
「もっと、喉の奥まで使えるだろ?」
「んぐぅっ」
ソファーに座る須賀の脚元に跪き、自らの手で取り出したペニスを意を決して口に含む。
独特の男臭さに眉根が自然と寄ってしまうが、開口具だけは嫌だったから、小さな口を必死に開いて、まだ完全には勃っていないのに、それでもかなり質量のある彼のペニスを受け容れた。
「逃げたいか?」
頭の上から振った声に叶多は視線をゆっくり上げる。
勿論……逃げたいに決まっている。こんな事をさせておいて、何を突然言い出すのかと思ったが、反論できる立場じゃないから小さく首を振った。
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