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「あっ…… ああっん」  身体が一気に脱力する。虚ろに開いた視界の中、ペニスから口を離した須賀の端正な顔が映り込み……余りの事に思考が回らずぼんやりそれを見詰めていると、近づいて来た彼の唇に口をそのまま塞がれた。 「んっ……んくぅ」  侵入してきた須賀の舌から唾液と共に自分の放った白濁を口に移されて、一瞬にして我に返った叶多は吐き出そうとするが、顔はしっかり固定されていて動かす事は叶わないから、結局そのまま喉を鳴らして自らの物を飲み込んだ。 「……んぅっ」  ようやく気が済んだのか、身体を離した須賀はそのまま立ち上がり、叶多の方を見向きもせずに部屋の中から立ち去ってしまう。  そんな須賀の後ろ姿をぼんやり見ていた叶多だったが、静かになったリビングで一人、下半身を露出させている状態にふと思い至り、羞恥に体を震わせながら、慌てて衣服を整えた。  ―― 気持ち……悪い。  口内に残る苦味の中に自分の物が混ざっているというだけで……いつもより胸が悪くなる。  気怠い身体を引きずるように、備え付けられたキッチンへと行き、口を入念にゆすいでから、自室に戻って服を着替えた。  汚れた服を洗濯機に入れ回し始めたタイミングで、チャイムの音が響いて来たから、佐野が来たのだと思った叶多は慌てて玄関へと向かう。  酷い事をされはしたけれど、ガードになってからというもの、常に自分の傍に居た為に、多少なりとも叶多は佐野に心を許し始めていた。  それほどに、叶多は孤独だったのだ。 「……え?」  だけど……開いたドアの外に居たのは、予想に反して佐野では無かった。

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