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 叶多が何を話したにせよ、簡単に「信じる」なんて言うような男ではない。 「これからは……俺の傍を離れるな」 「あっ……あぁっん」  動かない頭で必死に考えを巡らせていると、視界一杯に広がった彼の端正な顔がぼやけてきた。  それと同時に後孔へと挿しこまれた長い指先に精液を掻き出され、自分の物とは思えないような甘い嬌声が上がってしまう。  ―― これは……夢だ。夢……だから……。 「あっ、そこ……」 「なんだ?」 「……と、もっ……と」  強請る言葉を紡いだ時には、既に叶多は正気じゃなかった。 「ここか?」 「あふっ……ああっ…ん」  だから、自ら射精を促すように腰を振り、恐る恐る伸ばした指でペニスを掴んで扱き始める。 「下手くそ」 そんな姿を喉で笑い、自慰すらほとんどした事のない叶多の指を片手で掴むと、須賀は体内(なか)から指を引き抜き、勃ち上がったまま震えるペニスの根本に何かをカチリと嵌めた。 「ひっ、あっ…なん……」 「今日は達かせないって言っただろ?」 「やっ…やだっ……イきたっ…」 「イきやきゃイけよ」  耳朶を甘く噛み囁く声が、僅かに上擦っている事にさえ気づかない叶多はイヤイヤと首を振り……物足りなくなった後孔へ片方の指をズプリと差し込む。 「ひっ……くぅ……」  いつもはただ慣らす為だけの屈辱的な行為だが、訳が分からなくなった叶多は、必死にさっき須賀が触れていた場所を探して引っ掻いた。

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