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「あっ、アァッ」
「気持ち悦いか?」
「ひっ! いいっ……きもち…イイっ」
電流が流れたように体をピクピク痙攣させ、もっと奥へと触れたいのか、体勢を変えようと動く華奢な体を抱き締めると、虚ろに開いた瞳の中にうっすら怯えの色が浮かぶ。
「そんなに怖いか?」
「ひ……ん、んぐぅっ」
質問の意味なんてきっと理解もしていないだろうが、それでも視線を逸らした叶多に苛立ちを覚えた須賀は、両手を掴んで動きを封じ、そのまま頭上に縫い止めてからその唇を口で塞いだ。
***
「おはよう、叶多」
「あ、おは…よう」
教室に入るとすぐに瞬が歩み寄って来て、授業が始まるまでの間、他愛のない会話をする。
数日前……生徒会室で須賀に激しく攻め立てられたその次の日、
『学校でだけなら、久世と話しをしてもいい』
と、彼から言われた時には流石に耳を疑いもしたけれど、こうして再度話せることが今はなによりも嬉しかった。
「叶多は夏休みどうするの?」
「え? ああ、それはまだ……」
「決まってないんだ。じゃあ、家の別荘に遊びに来る?」
「それは、ちょっと……」
突然の瞬の申し出はとても叶多にとって魅力的で、「行きたい」とすぐに答えたかったが、そんな勝手は出来やしない。
須賀の従者である自分にそんな権利は無いということは、これまで散々思い知らされて骨の髄まで染み込んでいた。
「だよな。もし聞けるようなら会長に聞いてみなよ」
「……うん」
「俺から聞いてやろうか?」
明るい笑みを浮かべ訊いて来る瞬に小さく頭を振ると、
「無理しなくてもいいから」
と、頭を軽く撫でられる。
本当は、瞬自身にも聞きたいことや話したい事が沢山あるが、教室内では憚 られるし、放課後や昼休みには大抵須賀がやってくるから、そのチャンスに恵まれないまま数日が過ぎてしまっていた。
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