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「必ず守れ……か。簡単に言ってくれる」
微かな寝息が聞こえてきたのを確認してから背後を向くと、悠哉はそっと起こさないように叶多の髪を軽く撫でる。
『小泉叶多を必ず守るように』
とは……父親からの命令で、言われた当初はどうして自分がそんな事をと正直思った。
『大切な友達から預かった子なんだ』
深刻そうに話す父に、ならば子供にゲームなんかさせないで……自分で守れと言いたかったが、家長の命は一族の中では絶対だから、逆らうような真似は出来ない。
『彼を傷つけない為にも、これが全てを丸く収める最善だと……私は思っている』
初めて父から『頼む』と言われた。
ならば、後継者という立場からも、期待に応えようと思った。だが、射矢に調べさせた結果……叶多が守るに値するような人物だとは、悠哉にはとても思えなかった。
そんな悠哉だったから、本人を初めて見た時感じた強い感情を……つい最近まで憤りだと信じて疑わなかったけれど。
「今更……だ」
悠哉はポツリとそう呟くと、華奢な身体を背後からそっと包み込むように抱き締めた。
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