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「っ!……ゆいっ」
「ねえ叶多、最初に叶多の中に挿入ったのって……父さん?」
そして――信じられない事を言いながら、枷に繋がる鎖を叶多の頭上にあるベッドヘッドの柵へと手早く括り付ける。
「やっ、やめっ……」
「……何?」
片足だけを大きく開いた体勢を強いられた叶多は、慌てて身体を捩るけど……熱を持たない彼の双眸に見据えられれば、動く事すら息苦しくて震えながらも動きを止めた。
「本当は、他の誰かに汚されちゃったら、もう要らないって思ってたんだ」
「唯、なに……を?」
「でも……叶多が消えて苛々した。何で俺が長い時間を掛けて作ったのに、他人にくれてやらなきゃならないのかって……で、十分楽しめそうだって思い直した。相手が悠哉に変わったからね」
「ひっ!」
理解できない……否、理解したくない唯人の言葉と、彼の指先が自分のアナルの縁をスッとなぞったのが、殆ど同時の出来事だった。
「好きだよ……叶多」
「ゆい…それは……」
『違う』と喉まで出かけた言葉は、だけど空気を揺らさない。
まるで玩具か何かのように叶多のことを話す彼からは、邪気がまるで感じられなかった。だから……なおさら恐怖が募ってしまい、舌が凍り付いてしまう。
「っ!」
何かの滑りを帯びた指先がズプリと体内 へと挿入って来て、久々のその感覚に……叶多が小さく息を詰めると、長い指が奥の方を掻き回すように蠢いた。
「凄い、叶多の中ヒクヒクしてる」
「あっ、やぁっ」
「大丈夫、俺はアイツ等とは違うから」
怯える叶多にそう告げながら、もう片方の掌でそっと鎖骨を撫で、「もう、こんな事はさせないから」と、煙草の痕をなぞりながら叶多に囁きかけてくる。
本来ならば労りの意味を持つべき言葉の筈なのに……どういう訳かどこか愉し気な色を持って響いた声に、叶多の身体は自然と震え、歯がカチカチと音を立てた。
「っ……んっ」
なのに身体は酷く熱くて、彼の触れている体の奥から、疼くような快感が次から次へと湧き上がる。
―― こんな……どうして?
「気持ち悦い?」
「……い、ゆいっ……からだ、おかしっ」
「うん、確かにおかしいね。まだ指しかいれてないのに、叶多のココ……もう涎を垂らしてる」
「あぅっ!」
胸元から動いた指に尿道口を擦られて……堪らず漏れた上擦った声を、唯人はクスリと鼻で笑った。
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