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「ホント、淫乱な身体だ」
「ちが……ちが…う」
力無く首を横に振って否定を示した叶多だが、説得力の無い状況に、目の奥の方がツンと痛む。話す間もアナルの中をゆるゆると指で刺激され、快楽と……疲労のせいで、思考も殆ど回らなかった。
まさか、飲まされたスポーツドリンクや、今アナルへと挿し込まれている彼の指先が纏う液体に、媚薬が混入しているなんて想像すら出来やしない。
「んっ……や、やぁっ!」
唯人の爪が前立腺を掠めた途端、叶多の身体が奇妙に跳ねた。
「ここがいいんだ」
「やっ…やめっ…あぅっ!」
愉しそうに告げてきた唯人に何度か強くそこを押され、すぐに訪れた射精感に、前後不覚に陥った叶多は宙に手を伸ばし空気を掻く。
同時に下肢へと生温かい感触が広がって―― 。
「あれ? 達っちゃった。何にも知らないような顔して、ホント叶多は……」
「唯……ちがっ…んぅ」
『可愛い』
と、囁く声と殆ど同時に、唇を深く塞がれた。
***
「見舞いの帰りって話だったろ?」
「それは大した問題じゃないんじゃない? 返すって決めたのは悠哉だろ、俺に当たるなよ」
叶多を黙って見送ったあと、そこに残った智也に対し、出来る限り気持ちを殺して言葉を放った悠哉だが……隠し切れない苛立ちが、どうしても声から滲んでしまった。
それに答える智也の声は、いつもと同じく飄々としていて、さらに胸の奥の方からもやもやとした感情が湧いてくる。
「それにしても、なんで返そうって思った訳? あんなに執着してたのに」
「……お前はどうしてアイツに協力した?」
質問に質問で返すと、智也が鼻で笑うのが聞こえて思わず彼の方を向く。
提示された条件は、この半分しか血の繋がらない腹の底も分からぬ兄と、叶多の交換だったのだが――どう考えても智也が御園に捕まったとは思えなかったし、もし仮にそうだとしても、自分で何とか出来ないようには全くもって思えなかった。
「脅されたんだ」
「嘘はいい」
先ほど叶多を連れ去られ、今は智也と学園に戻る車に乗って移動しているが、ありえない彼の言いぐさに……すぐにでも突き落としてやりたい衝動に駆られてしまう。
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