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「くっ……ふぅっ」
だから、足りない刺激を一心に求め、簀 巻 き状態で抱き上げられて移動している布の中……叶多は必死に手を動かして自らペニスを弄りはじめた。
***
叶多が監禁されていた場所は、御園家の所有している軽井沢にあるゴルフ場の片隅で、コースからも外れている上、更に地下へと作られていた。
「思った以上にヤバいね」
移動に使ったヘリコプターから降りて車に乗り込むと、少し走ったところで助手席に座った伊東が振り返りながら悠哉に話しかけてくる。
いつもみたいな軽口ではなく、その声音はかなり硬い。
「ああ」
それに小さく頷きながら、須賀は自分の腕の中にある布の塊をすこし開いた。
「っ…ふんぅ」
合間から見えた叶多の顔は、上気していて艶めかしいがそれ以上に痛々しい。
苦しそうに喘ぐ姿に口枷をとってやりたくなるが、この状態では危険だろうと考え悠哉は頬へと触れた。
「うぅっ……」
虚ろに開いた瞳の中に自分の顔は映っているが、きっと今の彼にはまるで見えてなどいないだろう。
さっきからずっと叶多の下肢が不自然に動いているのが、どうしてなのか分かっているから、余計に胸が痛みを覚えた。
今回の作戦立案に悠哉と伊東も加わりはしたが、中心になって作成したのは射矢と瞬の二人になる。
――多分、誰も……。
ある程度までは覚悟していたが、ここまでの状態になっているとは思っていなかっただろう。
射矢からと渡されたUSBの中身を見るまでは、叶多は唯人の元に戻るのが望みであり、自分のした仕打ちを思えば、それが最善の方法なのだと悠哉自身も思っていた。
「射矢は、大丈夫なのか?」
乗り込んだのは二人ではないから、ヘリ二機へと分乗した。
今も、何台かの車に別れて移動している最中だから、当然射矢も居るだろうが、到着してから彼の姿を見ていない事にふと気がつく。
「ああ、それだけど……射矢は残った」
「……逃げ遅れたのか?」
「いや、ヘリから降りてすぐ、本人から少し残るって連絡が入った。それ以降連絡が途切れてるけど、どうする?」
きっと告げるタイミングをずっと計っていたのだろう。
少しの焦りを滲ませている伊東の声に思考を巡らせ、悠哉は軽く頭を振ると傍らにあった携帯を取った。
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