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「お前だけじゃないから……」
―― 僕…だけじゃ?
低く紡がれる悠哉の言葉は、既に意味を成さないくらいに遠いけど……自分のペニスを握っている手の甲へと当たったものが、悠哉のそれであることが分かって閉じてた瞼を叶多は開く。
「一緒だから」
「っ」
言葉と同時に悠哉の身体が密着し、自身を扱いていた叶多の手が彼の掌に掴まれた。
「っ!?」
驚きに目を見開くと……スッと顔が近付いてきて、唇が口に触れた刹那、舌が口腔へ進入してくる。
「……っ……ぅ」
あまりの事に動けなくなって力の抜けた叶多の腕は、叶多自身も気付かない内に彼の肩へと誘導された。
―― あっ、なっ…んで?
舌をチュクチュクと優しく吸われ、甘噛みを繰り返すキスは、今まで経験した事の無い心地よさに満ちていて。
「……っ」
―― あつ…い。
自分のペニスと悠哉のそれが、ひとまとめに掴まれたのだと叶多が理解するよりも早く、彼の大きな掌が動いて、快感に身体が打ち震えた。
「っん…んっ」
擦れ合う互いの硬いペニスと、口内を犯す悠哉の舌に、翻弄され、叶多の鼻から抜けたような音が漏れるが……苦しんでいるというよりもむしろ甘い喘ぎのように響く。
―― きもち…いい。
先走りを掬うように先端を指で何度も擦られ、竿の部分を緩急を付けて何度か上下に扱かれれば……快楽に弱い叶多の身体は呆気なく登り詰めてしまった。
「……っ!」
射精の瞬間、舌を噛まれて軽く引かれ、悠哉の背中へ回した指にギュッと力が籠ってしまう。
ハアハアと荒くなった息さえ飲み込むような彼からのキスに、応えたくて自ら顔の角度を斜めに変えたのは……無意識の行動だったが、深くなったその接合に今度は悠哉がピクリと震えた。
「……気持ち悦かったか?」
自然だがどこか慌てたように唇を解いた悠哉に問われ、叶多はコクリと頷くけれど、まだ彼は達していないと分かっているから、申し訳ない気持ちで心が一杯になる。
それに、叶多自身の熱もまだ、消えてしまってはいなかった。
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