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「……っ!」
―― いったい……何が?
突然の出来事に……何が起きたのか理解できずに、閉じた書棚へと思わず触れると、木材のように見えていたそれは冷えた金属で出来ている。
―― もしかして、閉じこめられた?
一瞬、不穏な思考が頭を過ぎるが、一希に限ってそれは無い……と、息を吐き出しやり過ごした。
―― とりあえず、降りてみよう。
中で待つよう言われた事を思い出し、壁で身体を支えるように階段を降りて下まで行くと、センサーでも付いているのか広い空間へと出た途端……部屋に明かりがパッと点く。
「っ!」
「一希さんも案外抜けてるよね……中に誰もいないだなんて、そんな保証はどこにも無いのに」
隠し部屋とは思えない程に華美な装飾の室内で、中央へと設置されている天蓋付きのベッドに座り、困ったような笑みを浮かべて自分を見据える人物に……驚いた叶多の脚はガクガクと大きく震えだした。
「助けに来たよ……叶多。怖かっただろ? もう大丈夫だ」
「……っ!」
感情の全く読めない声音で語りかけながら、優雅な動作で立ち上がる彼の陰から見えた人物に……更に驚愕を深めた叶多はコクリと小さく息を飲む。
―― あれは……射矢さん?
「ああ、類がセキュリティーを解いてくれた。この部屋の存在は、智也が知ってたから叶多の居場所もすぐに分かった。耳朶にマイクロチップが入ってるなんて誰も気付かなかっただろ」
名案だよねと続けた唯人がゆっくりこちらへ近付いてくる。本能的に逃げようとしたが、脚が竦んで動かなかった。
「叶多の位置は最初からチップで正確に掴めてた。だけど、二階への侵入は流石に厳しくてね。ここは、外に通じる扉が裏にあったから入れたけど、正直どうしようかと思ってた。今日を逃すと悠哉がいるだろ? だから、とりあえず今日中に何とかしようと思ってたけど……そっちから来てくれるなんて、やっぱりこれは運命かな」
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