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 正確には声に操られ動いてしまった感覚だけれど、結果としては叶多自身が自分で下した判断だった。  ―― もう、駄目だと……。  当時はまさか唯人がこんなに豹変するとは思っておらず、囚われてからの絶望の中、助けを求める相手さえも思い浮かべられなかった。  ―― だけど……助けてくれた。 『酷いことして……ごめん』  それからは、一度も叶多の嫌がる事をしなかった。  ―― 違う、もっと前から……。  一学期の最後の方には、既に変化が訪れていたのに、それに気づく余裕が無かった。  それは……それまで受けた仕打ちからすれば当然の結果だが、唯人に打たれ、止むことのない凌辱を受け続けているあいだ、ずっと悠哉を思っていたのは変えようのない真実だ。  それが、何という感情なのかは説明しようがないけれど。 「上手だ」  苦味が口の中に広がり、息が苦しくなってくる。  咥内を犯す唯人のペニスは含みきれないほどに育つが、それでも叶多は喉を使って懸命にそれを愛撫した。  助けは来ないかもしれない。  佐野に加えて射矢までもが唯人についていた事に……叶多はとても驚いたけれど、それよりも部屋に残った射矢がどうなったのかが気になった。  それに、初対面の叶多を励まし、守ろうとしてくれた一希や、心配を掛けた瞬や伊東にちゃんと礼も言えていない。  ―― チャンスは、きっと……ある。  それが、いつになるかは想像も出来ない。  もしかしたら、永遠に続くのではと不安に駆られそうにもなる。  だけど、諦めたら今度こそ駄目になってしまうと分かるから、以前のように薬を使われてしまわぬよう、なるべく唯人に従順に、命令通り動こうと努める。  これ以上、残る体力を消耗してしまわないように、犬のような食べ方を強要されても従った。 「もういいよ。叶多の中に出したい」  苦しみにえずいた刹那、ズルリとペニスが引き抜かれ……何度か叶多は咳込むけれど、微笑む唯人に頷いてからゆっくり体を反転させる。 「……っ!」 「今日は頑張ったから、こっちでいいよ」    挿入しやすいように尻を彼の方へ向け四つに這うと、後ろからヒョイと抱き上げられて膝の上へと載せられた。 「っ!」  脇下から通された腕に膝の裏を掴まれて、(もも)を大きく割り開かれた華奢な身体が宙に浮く。  そのまま……いきり立ったペニスの上へと照準を合わされた。

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