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―― どうして、こんなに……。
唯人が自分に執着するのか分からなくて叶多は惑う。
自分を貫く彼のペニスは、的確に悦い場所ばかりを穿つから、思考は途切れ途切れになるけれど、肩口を噛まれる痛みに意識を集中させることで、まだ均衡を保てていた。
「ふぅっ…んっ」
突かれるたび、爪先や腕が踊るように宙を掻く。
卑猥な道具を使って射精を塞ぎ止められていなければ、既に叶多は何度か達してしまっていることだろう。
「叶多は……俺が好きだろう?」
答えの決まっている問いかけに、何度も大きく頷くと、まるでそれを誉めるかのように、舌先が傷をペロリと舐めた。
――そんなの……好きに決まってる。
彼の父親の事もそうだが、ずっと慕い続けていた相手を嫌いになれる筈がない。
むしろ、ここまでさせてしまった自分に非があるような気さえしていた。
「俺も、好きだよ」
甘く蕩けるような声音に、いつも違和感を持ってしまう。それは、ずっと一緒にいたから分かるほんの僅かな澱みだった。
―― 唯が好きなのは……僕じゃない。
それが、誰に向けた想いなのかは分からない。そして、叶多の『好き』もこの場合……恋愛の情では無かった。
「ぐぅっ……んっ」
穿たれる度に喉の奥からぐぐもった音が出る。薄く開けた視界の先に水平線が見えるけど、そんな綺麗な風景でさえ、現実的には有りえないような今の叶多の状況では、心を動かす事も出来ないし、作り物のようにさえ見えた。
「イきたい?」
「……っ!」
ペニスの先を指でつつかれ、声にならない悲鳴が上がる。思考を続ける頭とは逆に、身体は既に限界で、揺られる度に先走りが垂れ革のソファーを汚していた。
「こっち向いて」
「……ンッ」
頷く叶多の身体を持ち上げペニスを一度引き抜くと、今度は向かい合わせになるように体位を変えて挿入される。
「ッ!…んぐぅっ!」
「可愛い」
その衝撃に痙攣し、空で極めた叶多の身体を抱き締めながら唯人が小さく囁いた。そして、ハアハアと荒く息を繰り返す唇へと……噛みつくようなキスをする。
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