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「……ンッ」  ――ど……して?  触れた場所から、悲しみに似た想いが流れて来たような気がした。  それが、不安定な叶多の心が勘違いしたものなのか、唯人の抱く感情なのかも絶頂を迎え白んだ頭じゃ上手く答えがみつからない。 「……っ」  彼の舌がゆっくりと、口の内側を犯していく。  落ち着くのを待っているのか、それともただの気紛れなのかは知りようもないけれど、律動を止めた唯人は叶多の背中を抱く手に力を込めた。 「っ!」  ――唯?  その指先が……僅かに震えているのに気付いて叶多は薄く瞼を開く。  間近で見ても整った顔は、やはり今でも天使のように美しく、何かを堪えるように眉間へと刻まれた皺を見た叶多は、その背中へと腕を伸ばして抱き締めたくなるけれど……それをしては駄目だと思い、掌でギュッと空気を握った。  ――僕じゃ……駄目だ。 「……んっ…ん」 \深くなった接合に、考えは霧散しそうになるが、それだけは頭の中ではっきりと形を留める。  呼吸することも困難な程の深いキスに翻弄され、目前が徐々に白んだところで、下から強く突き上げられた。 「っ!んっ!」  鋭く激しい動きに堪らず叶多が身体を仰け反らせると、背中を抱く手が片方離れ、はち切れそうに勃ち上がっている叶多のペニスを包み込む。 「……っ!」 「まだ駄目。俺がイってからだ」  ようやく解放された唇で息を繰り返す叶多に微笑み、そう言い放った唯人が不意に、窓の外へと視線を向けるが、視点が上手く定められない叶多には知る(よし)もなかった。

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