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「大事なのは、あくまで子供の遊びで終わらせることだ」
ただ、それにしても度を超え過ぎていると一希も思っているのだろう、その表情は凛としているが声音がいつもと僅かに違う。
数日前、『叶多を唯人に攫われた』と、報告してきた一希の顔は、明らかにかなり青ざめていて、いつも冷静で落ち着きのある彼とはまるで違っていた。
父親に連絡すると言った一希を引き止めたのは、他でもない悠哉自身で、なぜかと詰め寄る彼に対して理由をきちんと説明したのは、多少なりとも悠哉が変わった証拠だと言えるだろう。
これまでならば結論だけを押しつけて、結果さえきちんと出れば、説明の必要は無いし無駄な事だと切り捨てていた。
勿論、悠哉自身にも迷いが無かった訳ではない。類と智也が現れなければ、きっと父に頭を下げる決断をしていた筈だ。
「で、どうする?」
集めたのは一希と智也、それに生徒会役員とその従者。
事情を知るのはそこまででいいと、悠哉はすぐさま判断した。そこから指示を受ける人間は、逆に知らない方がいい。
「これから説明する。集めるのは従来のルールに従って三十人。あとは……」
伊東の問いに答えた悠哉は、一同を見渡してから説明を開始する。
一通り話が終わると、一様に驚いたような表情を浮かべこちらを見るが、誰も何の異議も唱えずしっかりと頷いた。
「何にも知らなかったのに、驚かないんだな」
会計の椎葉と古都などはきっと寝耳に水だったろうに、智也がそう話し掛けると、
「驚いてますよ。ただ、今はそれどころじゃないから」
「会長の従者がゲームの標的だとは知ってましたが、まさか……」
と、神妙な面持ちで答えながら立ち上がる。
「寮に戻ってる生徒の中で、体力ありそうなのを時間までに集めてきます」
「じゃあ俺は、移動手段の確保に回りますね」
「ああ、頼む」
悠哉の放った一言に、動き出した2人は一瞬動きを止めて顔を見合わせると、「了解」と口許に笑みを浮かべて外へと出ていった。
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