230 / 301
最終章
最終章
判断を誤った。
それをすぐに認められる分析力と潔さは、長所であると言えるだろうが、当の本人からしてみれば、そんな事はもうどうでもいい。
奇策としか言いようのない状況を耳にして、逃げる事はもう不可能だから、唯人は叶多と繋がったまま、海を眺めて奥歯をギリッと噛みしめた。
「悠哉が来てるみたいだけど……どうする?」
報告を受けたスマートフォンを傍らへと無造作に投げ、対面座位の体勢のまま、唯人が低く囁くと……虚ろだった叶多の瞳に分かりやすく正気が宿る。
「こんな姿、見たらなんて言われるだろうな。そのまま……帰っちゃうかもしれないよ」
「っ!」
ほぼ定着した肩の焼印を指でなぞってそう告げると、ビクリと身体を震わせたけれど、逆らったりはしなかった。
先程……窓の外に光った物の正体は、多分偵察機能のついた小型のドローンだったのだろう。
場所の特定にさほど時間が掛からなかった事については、射矢を置いてきたのだから、驚いたりしなかった。だけど。
「まさか……ね」
そこから起こりうる大抵の事態は既に予測できていた。
だから、その全てに防御線を張ることで……タイムリミットまでの間に、悠哉が辿り着く可能性をことごとく潰す指示を出した。
別荘を守っているのはその道のプロ達だ。
敷地自体は狭くは無いが、そこまで広大とはいえない。だけど、高い塀に囲まれていて、正面の門を通らなければ中には入って来られない。
入ったところですぐに掴まり、不法侵入で追い出されるのが関の山だ。そう、思っていたのに。
「……っ!」
扉が開く音と同時に、腕の中で叶多の身体が強張った。
唯人の肩越しに見えたのだろう、動揺したのか華奢な身体がカタカタ小さく震え出す。
「ノックぐらいしなよ。俺は別にいいけど……」
「うっ…んぅっ!」
振り返らずにそう呟くと、唯人は何度か下から突き上げ、緊張からか、きつく締まったアナルの奥へと吐精した。それからゆっくり身体を持ち上げ、叶多の体内 から自身を引き抜く。
ともだちにシェアしよう!