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「最初会った時、お前のその真っ直ぐな瞳に、囚われそうになった。いや、もう囚われていたんだと思う。認められなくて、信じられなくて、酷い事をしてきたから、会う資格は無いと思ってた。でも、会いたいってお前が言ったって聞いて……どうしてそう言ったのかは分からないけど、またお前に会えるのが……嬉しいと思った」 「僕……は」 「身体の傷はいつか消える。お前は……お前の心は、綺麗なままだ。だから、自分を汚いだなんて……思うな」  拳を包む彼の掌にキュッと僅かな力が込められ、そこから伝わる暖かな熱に、叶多の心は(とど)められないある感情で満たされた。 「でも、僕は、綺麗なんかじゃ……」 「……泣くな」 「っ!」  耳朶を掠めるくらい近くで悠哉の声が響いた途端、そっと離された彼の掌が、身体の下……ベッドと胸の僅かな隙間へスッと自然に差し込まれる。そのまま身体を抱き込むように身体を横に向かされて、シーツを掴んでいた掌が頼りなさげに宙を掻いた。 「泣くな」  再度耳許に囁く声。 「え? ……あっ」  ―― どうして?  背後から長い腕の中へと抱かれる形になった叶多は、彼の言葉と頬を伝う生温い濡れた感触に……自分が涙を流していると、そこで初めて自覚する。  自分は綺麗なんかじゃない……と、口に出したその瞬間から、ずっと嗚咽を漏らし続けていた事にすら……全く気付けていなかった。 「ふっ……うぅ」 「もう、泣かなくていいから……」  不意に視界へと入り込んできた指先に……目許を優しく拭われた刹那、まるで涙腺が決壊したかのように涙が溢れ出し……いくら泣くなと言われたところで制御することが出来なくなった。  なにせ、自分がどうして涙を流しているのかすらも、分かっていない状況なのだ。  ―― ど……して、どうして、僕は……。  止めようと思えば思うほと酷くなっていく自分の嗚咽に、また勘違いされてしまうと焦った叶多が口を抑えると、焦れたような舌打ちが聞こえ、身体をクルリと回された。

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