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「小さい顔だな。身体も……。いつも、お前を抱いた後、このままじゃ壊してしまうんじゃないかって、思ってた」  でも、止まらなかったと囁く声は、いつもの悠哉らしくもなく……僅かに震えて耳へと届く。 「俺も、お前を……知りたい」  真摯に響いた低音に、弾かれたように瞳を開くと、無表情に見えるけれども、僅かに頬を上気させている悠哉の顔がそこにあった。 「涙、止まったな」  口角を少し上げ、そう告げてくる悠哉に叶多が頷くだけの返事をすると、顎を指先で軽く上げられ、至近距離で視線が絡む。 「嫌か?」  この体勢で『何が?』と尋ね返せるほど……もう叶多は無知ではない。本来であればこの状況で、受け入れるのは間違いなのかもしれないが……切なげな彼の表情を見て、理屈ではない素の感情が叶多の心の中を占めた。  指の先端がピリピリ痺れ、心拍数が一気に上がる。  そして―― 。 「……っん」  決意を込めて小さく頷き、叶多が瞼を閉じたと同時に、顎を更に上向きにされ、唇をそっと塞がれた。 「んっ……う」 感触を確かめるように軽い触れ合いを繰り返し、それから少し角度を傾け、舌が咥内へ侵入してくる。薄く唇を開いた叶多が素直にそれを受け容れる……と、彼の舌に自身のそれを絡め取られて身体が震えた。 「う……んぅ」  チュクチュクと響く水音に……叶多は鼻から吐息を漏らし、彼の胸元を掴んでいた手の力が徐々に抜けていく。  舌の先端を甘く噛まれてチュッと優しく吸われれば……これまでになく穏やかなキスに、叶多の身体の奥の方から甘く切ない疼きがわき出し、新たな涙が頬を濡らした。 「……苦しかったか?」 「あ……ちがっ……」  すぐにそれに気付いた悠哉が顔を離して尋ねてくるが、叶多は首を横に振りながら、彼の首の後ろ側へと怖ず怖ず腕を伸ばして触れる。 「良くわからな…けど、嬉しいって……思ったから」  この感情は悲しみではなく歓びなのだという答えを……ようやく導き出した叶多は、間近に見える悠哉の口へと勇気を出してキスをした。 「……ごめんなさい」  子供のように、唇をただ軽く重ね合わせただけで、心臓の音が煩くなって、叶多の身体は熱を帯びる。  突然こんな事をして……呆れたのではないかと思い、叶多が謝罪を口に乗せると、悠哉は小さく舌打ちしてから叶多の身体を仰向けにして、上から覆い被さるように顔の両側に掌をついた。

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