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「いっ、あ゛、あぁっ!!」  指なんかとは比較にならないその質量に、瞬は体を仰け反らせながらシーツを爪でギュッと掴む。  散々馴らして貰ったおかげで、痛みはほとんど感じなかったが、訳も分からず溢れた涙がシーツにポタポタ染みを作った。 「あっ、くぅっ……」 (挿入っ……てる。ホントに…圭吾が……) 「瞬の中、あったかい」  混乱する瞬の背後から聞こえてきた圭吾の声が、ほんの僅かだが震えている。  これまで自分のことだけで精一杯だったけれど……いつもとは違う彼の声音にどうしても顔が見たくなり、アナルを埋める異物感に軽い吐き気を覚えながらも、瞬は背後を振り仰いだ。 「……っ」  そして、視界に入った彼の表情に、瞬時に全てを理解する。 「……馬鹿、だな」  頬をうっすら上気させ、切羽詰まったように眉間へと皺を寄せている圭吾の顔は、いつも冷静な彼らしくなく、その表情から彼の気持ちが流れるように伝わった。 「もう、平気……だから」  無理に体を捻った瞬は、懸命に腕を伸ばして圭吾の頬へと掌で触れる。  たったそれだけでピクリと震える圭吾の姿を目に映し、ついさっきまであれだけ未知への恐怖に怯えを感じていたのに、ここでようやく体に思考が追いつき瞬は微笑んだ。 (俺は、こんなに……)  圭吾に求められている。  それを感じた瞬の心が、温かい物で満たされた。  *** 「あっ、ああっ……んぅ」  何度体内に精を放ったか圭吾自身も覚えていない。  途中、瞬が意識を断とうとする度、激しく突き上げ引き戻し、まるですべてを食い尽くすように細い体を貪り続けた。  今は対面座位の体勢で、倒れないように腰を抱きながら何度もキスを繰り返している。 「んっ、うぅっ……んっ」  舌を吸いながら前立腺に当たるように何度か穿てば、ビクビク体を震わせた瞬が圭吾の背中に爪を立て、そのままクタリと脱力した。 「瞬、ごめん、止まんない」  きっと聞こえてなどいないだろうが、圭吾は謝罪を唇に乗せ、労るように彼の背中を撫で擦る。  自制しなければならない事は圭吾自身にも分かっているが、だからといってこの衝動を抑えることは出来なかった。

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