272 / 301
5
「いっ、あ゛、あぁっ!!」
指なんかとは比較にならないその質量に、瞬は体を仰け反らせながらシーツを爪でギュッと掴む。
散々馴らして貰ったおかげで、痛みはほとんど感じなかったが、訳も分からず溢れた涙がシーツにポタポタ染みを作った。
「あっ、くぅっ……」
(挿入っ……てる。ホントに…圭吾が……)
「瞬の中、あったかい」
混乱する瞬の背後から聞こえてきた圭吾の声が、ほんの僅かだが震えている。
これまで自分のことだけで精一杯だったけれど……いつもとは違う彼の声音にどうしても顔が見たくなり、アナルを埋める異物感に軽い吐き気を覚えながらも、瞬は背後を振り仰いだ。
「……っ」
そして、視界に入った彼の表情に、瞬時に全てを理解する。
「……馬鹿、だな」
頬をうっすら上気させ、切羽詰まったように眉間へと皺を寄せている圭吾の顔は、いつも冷静な彼らしくなく、その表情から彼の気持ちが流れるように伝わった。
「もう、平気……だから」
無理に体を捻った瞬は、懸命に腕を伸ばして圭吾の頬へと掌で触れる。
たったそれだけでピクリと震える圭吾の姿を目に映し、ついさっきまであれだけ未知への恐怖に怯えを感じていたのに、ここでようやく体に思考が追いつき瞬は微笑んだ。
(俺は、こんなに……)
圭吾に求められている。
それを感じた瞬の心が、温かい物で満たされた。
***
「あっ、ああっ……んぅ」
何度体内に精を放ったか圭吾自身も覚えていない。
途中、瞬が意識を断とうとする度、激しく突き上げ引き戻し、まるですべてを食い尽くすように細い体を貪り続けた。
今は対面座位の体勢で、倒れないように腰を抱きながら何度もキスを繰り返している。
「んっ、うぅっ……んっ」
舌を吸いながら前立腺に当たるように何度か穿てば、ビクビク体を震わせた瞬が圭吾の背中に爪を立て、そのままクタリと脱力した。
「瞬、ごめん、止まんない」
きっと聞こえてなどいないだろうが、圭吾は謝罪を唇に乗せ、労るように彼の背中を撫で擦る。
自制しなければならない事は圭吾自身にも分かっているが、だからといってこの衝動を抑えることは出来なかった。
ともだちにシェアしよう!