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「んっ……うぅ……」
首を後ろに反らす形で意識を絶った瞬の喉元へと、所有の証を付ける為、唇を押しつけ強く吸う。
「あっ…くぅ……うぐぅっ!!」
そのまま、下半身は繋げたままで瞬の体をベッドへ倒し、ギリギリまでペニスを引き抜きそこから一気に中を穿つと、まるで電流が流れたように痙攣した瞬の瞼がほんの僅かだが開かれた。
「瞬……ごめん。俺……」
「……圭…吾、だから、いい」
もう何度目になるか分からない、実を伴わぬ圭吾の謝罪に、掠れた声で言葉を紡いだ瞬の口角が僅かながら弧を描く。
「……気持ち悦くて、どうなっちゃうか……怖かった。けど……圭吾の気持ち……分かった…から」
ゆっくりこちらへ伸ばされた指が、圭吾の頬へと触れてくる。
「圭吾……お前、俺の事……ホント、好きなんだな」
浅く呼吸を繰り返しながら微笑む瞬の表情に……圭吾の胸は言いようのない充足感で満たされた。
「ああ、好きだ。ずっと……瞬だけが」
低く耳元へ囁きかけると、「俺も……好き」と小さな声が微かに鼓膜を揺らすから……こみ上げる思いのままに、体を折り曲げ瞬の唇を己のそれで深く塞ぐと、圭吾は中に入ったままの自身で深い所を穿つ。
「んっ! ……んぅっ!」
昔から、気持ちを言葉にするのが下手で、圭吾に対する時にだけいつも天の邪鬼だった幼なじみが、それでも必死に応えようとしている姿が愛しくて……だからもう、これ以上の言葉は必要ないと思った。
end
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佐野×射矢です
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