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類の服装は細身のパンツにモッズコート、ブーツを履いて首にはマフラーを巻いたカジュアルな格好だ。
華奢な上に、体のラインの分かりづらい服装だから、他人から見れば女性のように見えなくもないと智也は思う。
(言ったら、怒るかもしれないけど)
智也自身、他人の目などは気にもならない些細な事だが、類の気持ちが手に取るように分かるから、そんな事で悩んだ挙げ句、結果手を離そうとしない彼が愛しくてたまらなかった。
「また、“佐野さん”に逆戻り?」
振り返って質問をすると、目が合った途端頬が薄紅 に染まっていく。
「そんなわけじゃ……でも、少し馴れなくて」
まだ学園に居た頃は、どんなふざけた質問をしても、表情一つ変える事無く淡々と答えていた。
そんな彼の、微妙な感情の機微 を掬い取る作業も嫌ではなかったが、今の類はそれ以上に智也を惹きつける。
「夏にもあれだけ教えたのに、類はすぐ俺に馴れなくなるね。次に会うまで忘れないように、今日から沢山勉強しないと」
「べ、勉強……なら、出来る方だと思います」
「バーカ、そんな真っ赤な顔して、とぼけても無駄。ホント、これで年上とか反則だろ」
立ち止まった智也が体を屈めて頬へとキスを落とすと、これにはかなり驚いたようで、類は瞳を見開いた。
表通りでは無いけれど、周りには人が沢山居る。そんな中でキスするなんて、きっと類にはあり得ないことだ。
「なっ……なにをっ!」
「まずは、冷え切った体を暖めなきゃな」
動揺する類の掌を握り直して歩きだす。
多分、三時間は待っていた彼が、風邪を悪化させるような事になっては時間が勿体ない。
「どこに、行くんですか?」
「ん? イイところ」
待ち合わせ場所が智也の住むマンション付近じゃなかったから、きっと不思議になったのだろうが、折角のクリスマスだから……特別な夜にしたいと思った。
(柄でも無いけど)
イルミネーションをキョロキョロと見ながら、「綺麗」と呟き微笑む類は、これまでまともにクリスマスを誰かと過ごしたことが無い。
学園では、類の立場や真面目な気質をおもんばかって、互いの部屋を訪れたとしても、泊まるような真似は一度もしなかった。
だから、今日は尚更楽しませたいと思ったのだ。
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