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そして。
「やば、も……出る」
「ひっ……ぐぅ……あぅっ!」
暫しの後、最初の射精を迎えた智也は一旦その動きを止め、弓なりに反った類の体を片手で支えてその唇へとキスをする。と、次の瞬間、類のペニスを掴んだままの掌へと……生温かな濡れた液体が伝いはじめた事に気づいた。
「……類、もしかして、漏らしちゃった?」
「ふっ……うぅっ、ごめ……ごめんなさ……」
「謝らなくていい。全部俺のせいだから……それに……」
『何をしても可愛いよ』と耳元で低く囁くと、縋るように智也の背中へ腕を回して掴んだ類が、か細い声で「好きです」と、何度も拙く告げてる。
「汚れたから、洗おうね」
既に錯乱状態なのだろうが、いつもとは違い舌っ足らずに紡がれる言葉が愛しくて……また兆しを示したペニスを引き抜くこと無く智也は類を抱き上げると、繋がったままバスルームへと脚を進めた。
***
目を覚ますと辺りは明るく、既に昼過ぎのようだった。
「……起きた?」
「あ……」
僅かな身じろぎに彼は類の覚醒を読み取ったらしく、耳の後ろから声が聞こえて体を強く抱き締められる。
「おはよう……ございます」
「おはよう」
背後から包み込まれているから、智也の顔は見えないけれど、昨晩の事は覚えているから、類は落ち着かず視線をウロウロさまよわせた。
「連泊にしてあるから、ゆっくり休んでいいよ」
首筋にチュッと吸いつかれ、乾いた口から吐息が漏れる。
アナルの縁にはひきつるような痛みが残り、後孔にはまだ何かが挿入されているような感覚があるが、それでも類はこれまでで一番、幸せな気持ちに包まれていた。
「痛くして、ごめんね」
肩口に顔を埋めるようにして囁かれる謝罪の言葉。
「謝らないでください。本当に……嬉しかったです」
自分を卑下する訳ではないが、こんな貧相な体に欲情してくれたという事の方が、類にとっては嬉しかった。
だから、素直に気持ちを言葉にすると、クスリと智也が笑うから……不思議に思って振り返れば、「お前、ホント、俺が好きなんだな」と、目を細めて告げてくる。
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